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高校生が大学レベルに eラーニングで身につく情報力

インターネットとパソコンやタブレットなどのモバイル端末を利用して行う「eラーニング」で、愛媛大学と同大付属高校による共同チームは、高校生が大学生の学びを早期に学ぶことができる「早期・情報教育プログラム」を開発し、付属高校1年生の教科「情報」で実施したところ、1年間で高校1年生の平均的な情報力が大学2年次レベルまで向上する結果が得られたと発表した。情報は令和7年度以降、大学入学共通テストに追加されるが、高校では教員不足が指摘されており、この手法が広く活用されることが期待されるとしている。

愛媛大学の仲道雅輝准教授、秋山英治教授、同大付属高校の光宗宏司教諭(左から)
愛媛大学の仲道雅輝准教授、秋山英治教授、同大付属高校の光宗宏司教諭(左から)

このプログラムは、愛媛大が平成26年度に文部科学省の大学教育再生加速プログラム「大学教育の到達点の高度化~早期の〝動機付け〟から〝深い学び〟へ」(テーマⅢ・高大接続)に採択されたことから、愛媛大付属高校と共同チームを編成。29年度からeラーニングを活用した早期・情報教育プログラム」を実施している。

大学初年次向けに開発されたeラーニング教材を、高校生の実態に合わせて一部修正して用いる。付属高校では、情報が1年生(1学年120人)の必修となっており、年度初めにテスト(40問)を行って生徒の情報に関する基礎知識力を把握し、年度末に到達度テスト(同)を実施して、情報力向上の度合いを判定する。

eラーニング教材は、学習指導要領や教科「情報」に基づき、情報活用の実践力▽情報の科学的な理解▽情報社会に参画する態度-の3観点から、計209の問いが設けられている。生徒はパソコンやタブレット、スマートフォンを使って簡単に、繰り返し教材にアクセスすることができる。解答方法は「わからない」を含む複数の選択肢から1つを選ぶ選択式が基本となっている。

例を挙げると、「パスワードの設定や管理に関する記述のうち、最も適切なものはどれか」(正解は「管理者から要求があっても教えない」)▽「情報を伝達する媒体の特性や利用方法を理解し、情報を適切に取捨選択する能力を何というか」(正解は「メディアリテラシー」)など。

共同チームで、年度初めと年度末のテスト結果を分析したところ、年度末には高校生の平均的な情報力が大学2年次の平均レベル相当にまで向上したことを確認した。比較した大学生のデータは、全国の国・私立の文系と理系5大学の約2100人。

共同チームの光宗宏司・付属高校教諭によると、高校では情報の授業の最後に10分間程度、生徒がパソコンを使って問題に取り組んでいる。「同じ問題を繰り返しできるのがよい。移動中でも、家庭でもスマホなどを使ってできる」とメリットを強調する。

プログラムの開発メンバーである愛媛大教育・学生支援機構教育企画室の仲道雅輝准教授も、eラーニングには自分のタイミングでできる非同期型と、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」などを使い対面で行う同期型があるとして、「知識を注入するのは非同期型が得意。パソコンで取り組むのでゲーム性があり、記録が残るので教師が分析できるのがよい」と話した。

高校1年生の情報力が大学2年次レベルに達する理由について、仲道准教授は「反復して基礎的な内容を学ぶことが高校の授業では行われるが、大学では情報リテラシーを中心とした学習に移行するため、そのことが影響しているのでないか」と分析した。

共同チームリーダーの愛媛大法文学部人文社会学科の秋山英治教授は、情報のeラーニング活用のプログラムについて「高大接続教育の試みとして、一定程度の成果が得られた。大学生向けの教材であっても、高校生向けにアレンジすることで、高校生も積極的に取り組み、情報力が飛躍的に向上することが明らかになった」と情報力とともに学習意欲の向上に効果があったと話す。

一方、令和4年度から改定される高校学習指導要領では、すべての生徒が履修する「情報Ⅰ」を新設され、プログラミングやデータベース(データ活用)の基礎などが必修化となり、多様な内容を学ぶことになる。さらに、大学入学共通テストに追加されるにもかかわらず、高校現場での問題は、専任教諭の不足だという。「教員がいないのは全国的な課題。各校がなんとかしなければいけないと考えている」と光宗教諭は話す。

共同チームは高校生の事後アンケートで、プログラムの有効性を実感するなど肯定的にとらえられていることも確認しており、「eラーニングを活用することで高い教育効果を得られるこのプログラムが、今後の情報教育に貢献することが期待される」と今後を展望している。

この研究は令和2年に「日本リメディアル教育学会」のリメディアル教育研究第14巻に発表され、同学会第3回論文賞を受賞した。(村上栄一)


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