みずほ、若返りで体制一新へ

    システム障害の続発で揺れるみずほフィナンシャルグループ(FG)は、木原正裕執行役を次期社長に昇格させる方針を固めた。再発防止策の構築に加え、金融庁の業務改善命令で突きつけられた「組織風土の改革」という難題に取り組むため、3メガバンクでは初となる平成入行組のトップのもとで体制一新を図る。

    みずほフィナンシャルグループの社長に昇格する木原正裕執行役
    みずほフィナンシャルグループの社長に昇格する木原正裕執行役

    「負の連鎖を断ち切るためには大胆な若返りが必要だ」。みずほの中堅社員は木原氏の社長就任をこう歓迎する。木原氏は平成元年入行で、みずほ銀の次期頭取に内定した加藤勝彦副頭取(昭和63年入行)との間でも入行年次が逆転する。

    旧日本興業銀行に入行した木原氏は若手時代に米国のロースクールに留学し、みずほ証券のリスク管理や財務企画部門などを歩んできた。分け隔てなく話す気さくな性格で人望があり、「直属の部下だった社員から悪い話は聞かない。リーダーシップもある」(若手社員)。岸田文雄首相の最側近で知られる木原誠二官房副長官の実兄でもある。

    みずほは平成12年に日本興業、第一勧業、富士の旧3行が経営統合して誕生。佐藤康博前社長(現会長)、坂井辰史社長と2代続いた興銀出身トップを避け、坂井氏の収益改善路線を手堅く継承できる候補として昭和61年入行で一勧出身の今井誠司副社長や、62年入行で富士出身の梅宮真グループCFO(最高財務責任者)らの登用も取り沙汰された。

    だが、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と酷評された組織風土の改革には、むしろ出身行にこだわらず次世代の「実力派」(関係者)にかじ取りを託すとの判断に至ったようだ。行内では相次ぐトラブルで職員の士気低下が指摘されている。3度続く興銀出身トップが垣根なく社内をまとめ上げ、再発防止に取り組めるかが問われる。(高久清史)


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