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院長妹「風化が怖い」 再発防止求める 大阪・北新地ビル放火

25人が犠牲になった大阪市北区曽根崎新地のクリニック放火殺人事件で、亡くなったクリニックの西澤弘太郎院長(49)の妹(44)が産経新聞の取材に対し、多くの患者が巻き添えとなったことについて「兄も悔やみきれないはずだ」と語った。その上で「二度とこのような事件は起きてほしくない」と再発防止を強く願った。

現場となったビルでは花束や手を合わせる人が絶えない=11日午後、大阪市北区(安元雄太撮影)
現場となったビルでは花束や手を合わせる人が絶えない=11日午後、大阪市北区(安元雄太撮影)

「兄は巻き込まれた患者さんを守れなかったこと、通院していた患者さんを最後まで診られなかったことを一番に悔やんでいると思います」。妹は、ゆっくりと声を絞り出すように話した。

淡々とした性格で普段は自身のことをあまり語らなかったが、心療内科医の仕事には没頭していた兄。患者のカルテを熱心に読み込む姿を鮮明に覚えている。昨年12月17日に起きた事件から3週間以上がたった今も、その死を受け止められずにいる。

ただ、犠牲になった患者やスタッフ、その家族のことを考えると、自分ばかりが悲しんではいられないとも思う。「多くの方の未来が奪われてしまった。兄に代わってどうかおわびしたい」

あの日、クリニックにいた患者たちは、職場復帰に向けた集団治療「リワークプログラム」や診察を受け、一歩ずつ前へ歩き出そうとしていたはずだ。

今回取材に応じたのは、そうした被害者の死を無駄にしてほしくないという思いからだ。令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件を機にガソリンの販売規制は強化され、購入時の身元確認などが求められるようになったが、死亡した谷本盛雄容疑者(61)は身分証を提示した上でガソリンを購入し、今回の事件が起きた。規制についてさらなる見直しが必要と感じている。

ほかにも、疑問は尽きない。ビルの防火体制に不備はなかったのか。小規模なビルにもスプリンクラーの設置を義務付けるなど、法令を変える必要があるのではないか-。「事件が風化していくのが何よりも怖い。同じような事件が二度と起こらないために、社会全体で仕組みを変えていかなければならない」と訴えた。(中井芳野)

■北新地ビル放火殺人事件

令和3年12月17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地にある堂島北ビル4階の「西梅田こころとからだのクリニック」から出火。院内の一部を焼き、西澤弘太郎院長やスタッフ、患者ら計25人が犠牲になった。大阪府警は院内の防犯カメラに写っていた男を現住建造物等放火と殺人の容疑者と特定し、住所・職業不詳の谷本盛雄容疑者と発表。容疑者自身も現場から搬送されて意識不明の状態が続いていたが、12月30日に重度の一酸化炭素中毒による蘇生(そせい)後脳症で死亡した。


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