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マッハ10「極超音速」証明に躍起 北、再び弾道ミサイル発射 新兵器開発を誇示

【ソウル=桜井紀雄】米国や中国が北朝鮮問題に集中できない状況に乗じるように、北朝鮮は年明け早々に立て続けにミサイルを発射することで、新兵器開発を優先させる意思を誇示した。音速の10倍(マッハ10)前後という速度で飛ばすことによって、ミサイル技術の急速な向上を内外に印象づける思惑もうかがえる。

2021年9月に行われた極超音速ミサイル「火星8」の発射実験(左)と、5日に行われた極超音速ミサイルの発射実験(いずれも朝鮮中央通信=共同)
2021年9月に行われた極超音速ミサイル「火星8」の発射実験(左)と、5日に行われた極超音速ミサイルの発射実験(いずれも朝鮮中央通信=共同)

「一般的な弾道ミサイル」。韓国国防省は7日、北朝鮮が5日に発射したミサイルについて「極超音速ミサイルの発射実験に成功した」との北朝鮮の主張をこう真っ向から否定した。

極超音速兵器はマッハ5を超える必要があり、5日の発射では最高速度がマッハ6程度に達したものの、その後減速し、一定区間マッハ5以上を保つという極超音速兵器の条件を満たさなかったと分析した。

国防省側は「極超音速は北朝鮮の内輪のみの表現」とも酷評した。北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が実験結果に「大きな満足」を表したと強調していただけに、自尊心を著しく損なわれたとみられ、短期間で再び発射した。

マッハ10は韓国軍の弾道ミサイルの最高速度マッハ9を超える。極超音速兵器に当てはまるかの判断は専門家でも分かれるが、韓国軍は「5日発射のミサイルより進展した」と評価せざるを得なかった。

北朝鮮は昨年9月に韓国が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に成功したと発表すると、韓国のSLBMは「初歩レベル」と主張した上、翌月に潜水艦からSLBMを発射するなど、韓国への対抗意識をむき出しにしてきた。

北朝鮮の軍事に詳しい韓国自由民主研究院の柳東烈(ユ・ドンヨル)院長は、北朝鮮が極超音速兵器とするミサイルの発射について「問題点を見つけて改良していく開発途上にある」と分析した上で「国際社会が制裁を続けようが、わが道を行くとの意思を示した」と読み解く。完成まで今後も発射実験を繰り返すとも予測する。

バイデン米政権は、ロシアとウクライナをめぐる軍事的緊張の緩和に向けた交渉に注力せざるを得ず、中国の習近平政権も、国家の威信を懸けた北京冬季五輪が目前に迫り、北朝鮮のミサイル問題どころではないのが実情だ。北朝鮮は習政権に五輪への支持を事前に伝え、中国側から謝意も取りつけている。北朝鮮が大国の介入なしに新兵器実験を常態化させる好機ととらえている可能性もある。


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