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東証プライム、経過措置で「骨抜き」懸念も

東京証券取引所は4月に控えた市場再編に向け全銘柄の移行先を11日発表し、1部上場企業(約2200社)の8割超が最上位の「プライム」市場を選んだ。投資家が優良企業に投資しやすくするため上位市場の企業数を絞り込もうと図ったが、顔ぶれはほぼ変化がみられない。1割強の300社程度が基準を満たしていなくても経過措置でプライムに残留し、当初の狙いが骨抜きになる懸念が残る。

東京証券取引所=東京都中央区(鴨志田拓海撮影)
東京証券取引所=東京都中央区(鴨志田拓海撮影)

プライムに残るには、市場に流通する株式の比率やガバナンス(企業統治)で東証1部より厳しい基準を満たす必要があるが、達成できなくても〝合格〟に向けた計画書を出せば残留できる経過措置が設けられている。厳しい基準を懸念した産業界などに配慮した結果だが、企業の選別が進まない原因ともなっている。

しかも、東証は「企業ごとに基準適合にかかる期間が異なる」などとして、経過措置の期限を示していない。日本取引所グループ(JPX)の清田瞭グループ最高経営責任者(CEO)は「経過措置は永遠ではなく一定期間になる」とクギを刺すが、市場関係者の間では数年は措置が設けられるとの見方が有力だ。

再編後も顔ぶれが代わり映えのしない上位市場について、みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「抜本的な改革を期待した機関投資家の評価は低い」と指摘。経過措置がいつまでも残れば「海外投資家に『日本は緩やかな市場改革しかできない』との印象を植え付けかねない」と警鐘を鳴らし、経過措置の厳格化、または早期の撤廃で、優良企業を明確に区分する必要があると訴える。

投資マネーを呼び込む魅力ある市場づくりには、どんな制度変更が必要なのか。SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは市場再編に伴い見直される東証株価指数(TOPIX)の選定銘柄を厳格化すべきだと強調する。

現在、TOPIXは1部上場銘柄が対象だが、10月から段階的に見直され、流通株式時価総額100億円未満の企業は除外される。ただ、それでも「流動性の高い大型株を選ぶ米国の主要指数に比べ、TOPIXの基準は甘い」(伊藤氏)。

対象銘柄から除外された場合、上場投資信託(ETF)や投資信託の買い入れ対象からも外され、各企業の資金調達に影響する。このため伊藤氏は「基準達成に向け企業価値を高める動きを促せる」と期待する。

(西村利也)


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