才能を発揮しチャンスを掴む ジョリタを育んだリトアニアの小さな町~女子編

    ジョリタ・セスタイは研究者である。バルト三国のひとつリトアニアにあるカウナス工科大学の准教授であり、企業の共同オーナーでもある。だが、「私は研究者だ」と最初に名乗る。

    ぼくが彼女と知り合ったのは、ミラノ工科大学に客員研究員としてミラノにいるときだ。現在の仕事の時間配分もさることながら、探索は何ごとにもかえがたい。それをアカデミックな研究と実践の両方で追求し、現実に執拗に向き合う。ジョリタの性分なのだろう。それで「研究者」である。

    グザヴィエ・パヴィーと並ぶジョリタ
    グザヴィエ・パヴィーと並ぶジョリタ

    専門はイノベーション戦略だ。2010年代になって話題になった「レスポンシブル・イノベーション」や「レスポンシブル・リサーチ」との言葉に出逢った。フランスのビジネススクールESSECのグザヴィエ・パヴィーの教えが契機だった。科学や技術の分野でこれらの言葉がよく言及されていたが、彼女はビジネスの文脈での適用に興味を抱いた。

    ほぼ同じころ、ビジネスの道に足を踏み入れている。社名を「ネサルタ」。ウールのマフラーやカーディガンなどを扱う会社を立ち上げた。リトアニア語のネサルタは「寒くない」との意味だから、社名の文字通りの商品だ。彼女自身、「私は寒がりなの」。

    父親がウールをつくる会社の管理職であった。それで、いくつかの好機と出逢いがあり、このウールを使って自分のビジネスをやってみよう!と思った。情熱的な女性でもある。サイトにもモデルとして登場する。

    「私は興味ある方向に全力で集中する方なの。でも、それは他人とのコラボレーションを拒否するのではなく、その機会を有難く受けてきたわ。たくさんの学びがある」

    研究テーマが社会的な責任や倫理に関わるので、彼女のビジネスも経済価値だけではなく、社会や環境の価値を重んじる。「リトアニア人の手による、リトアニアの人のための製品をつくる」(ジョリタ)のを目的とした。


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