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台湾有事、在留外国人退避に備えよ 笹川平和財団の中村進客員研究員

中国による台湾侵攻の懸念が強まる中、海上幕僚監部法務室長などを歴任した笹川平和財団の中村進客員研究員が14日までに産経新聞の取材に応じた。「台湾有事」では在留邦人の退避だけではなく、諸外国から自国民退避への協力を求められる可能性が高く、その備えが急務だと強調した。

産経新聞のインタビューに応じる笹川平和財団・客員研究員の中村進博士(自衛隊OB)=産経新聞東京本社(春名中撮影)
産経新聞のインタビューに応じる笹川平和財団・客員研究員の中村進博士(自衛隊OB)=産経新聞東京本社(春名中撮影)

台湾有事が日本に対し、どの程度の脅威になるかは不明だが、米国が関与するとなった段階で日本が巻き込まれることは不可避だ。この際、日本にとって「非戦闘員の退避行動」は重要な課題となるだろう。

台湾には日本人を含む外国人約80万人が在留している(昨年7月末時点)。そのうち約75%がアジア諸国の出身者だ。これらの国々は自国民を退避させる能力に乏しい。米軍が戦闘準備などで非戦闘員の退避まで手が回らないとなると、台湾に近く、最大の輸送力を持つ国は日本になる。

日本はこれまで、欧州や中東など遠隔地からの邦人退避を欧米諸国に依頼してきた。この立場は台湾有事で逆転する。日本が役割を果たせなければ、国際社会で日本に対する評価は著しく損なわれるだろう。

自衛隊法は外国人の輸送について、邦人輸送を目的に派遣した自衛隊機に同乗させる形に限定している。アフガニスタンからの退避で行われた外国人のみの輸送は、派遣後であれば外国人のみの輸送を可とする重要な先例だ。ただ法改正も検討されているとはいえ、現状は台湾からの外国人のみの輸送を目的とした派遣の枠組みが欠落している。

条文に規定されていないが、政府は公式見解で「在外邦人等の輸送」には相手国の同意が必要であるとしている。そのため、「一つの中国」原則を掲げる中国に配慮し、日本と外交関係のない台湾への派遣に慎重論もある。だが、台湾に行く日本人は中国の査証(ビザ)をとっているのか。中国の「同意」を論じること自体がナンセンスだ。

日本が米国とともに台湾有事に関与する際、その動きに多国間の広がりを持たせることがカギとなる。日本では「平和主義者」と呼ばれるような人々が冷戦時代から日米協力を「米国追従」と批判し、「米国の戦争に巻き込まれる」と主張してきた。対米協力の観点だけで論じると議論が難航する恐れがある。

2001年からのアフガニスタン戦争で自衛隊をインド洋に派遣できたのは、国連の決議があり、「テロとの戦い」が北大西洋条約機構(NATO)を含む多国間の一致協力した取り組みだったからだ。インド太平洋には欧州諸国やオーストラリアなどが軍艦艇を派遣している。そうした多国間の取り組みの観点で議論することが重要だ。(談)

なかむら・すすむ 笹川平和財団(安全保障研究グループ)客員研究員。慶応大SFC研究所上席所員。1974年、海上自衛隊入隊。海自航空部隊や海自幹部学校などでの勤務を経て海上幕僚監部法務室長などを歴任。2017年3月に退官(海将補)。


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