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ザ・ニュースペーパー 似てないキシダ首相の聞く力

昨秋、菅義偉(すがよしひで)前首相が退任し岸田文雄内閣が発足した。あの人たちもまた〝政権移行〟が進んでいる。歴代首相や政治家のものまねでおなじみの社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」だ。浜田太一が演じる「キシダ首相」が誕生したものの、さっそく「似ていない」と批判にさらされているという。「国民の意見を聞いて一緒に作り上げていく」と持ち前の「聞く力」のアピールに必死だ。

「岸田ですノート」と初心者マークを手にする、ザ・ニュースペーパーの浜田太一演じるキシダ首相(右)。山本天心のスガ前首相と比べクオリティーに課題を残す=大阪市北区(前川純一郎撮影)
「岸田ですノート」と初心者マークを手にする、ザ・ニュースペーパーの浜田太一演じるキシダ首相(右)。山本天心のスガ前首相と比べクオリティーに課題を残す=大阪市北区(前川純一郎撮影)

岸田首相の特徴とは

岸田政権が誕生してまもない昨年10月、記者会見の場に現れた山本天心(てんしん)が演じた「スガ前首相」が切り出した。「国民の皆さん、お久しぶりです。スガ政権の時代は本当に良かった。スガ政権はいいわ、いいわ…『令和』。でも私の末期は…」

「冷遇」と書かれた書をおもむろに掲げた山本。新元号の発表時に「令和おじさん」の愛称で人気となった菅前首相にちなんだ演出で笑いを誘った。

山本は菅前首相が官房長官時代から約9年間、外見や言動を研究し続けてコントに取り入れてきた。カツラはロングヘアをカットして特徴的な分け目も忠実に再現し、グレーヘアに染めた自信作。メークをすれば本人と見まがうほどの完成度の高さだった。

一方、浜田演じるキシダ首相は苦戦している様子。そもそも岸田首相の顔だちや髪形は、ものまねという観点から見ると「特徴らしい特徴がない」(浜田)そうで、デフォルメしにくいのだという。

もやもや読み取り

実は浜田、総裁選のコントで「キシダ議員」として登場したことがある。このときは「一瞬だけビデオ出演して消える役だった」と浜田。クオリティーが低くても目立つことはなかったが、岸田首相の誕生でそうもいかなくなった。

付け鼻で顔立ちの雰囲気をなんとか出すと、総裁選で岸田首相が披露し話題になった、国民の声を書きためる「岸田ノート」に着目。その名前を書かれた人を死神が死なせるノートが登場する人気漫画「DEATH NOTE」をもじり、政敵の名前が記してあるという「岸田ですノート」と皮肉をきかせる。

単なる見た目だけのものまねで終わらせないのは、ザ・ニュースペーパーの真骨頂でもある。竹下登氏以来、歴代首相や政治家らのものまねで社会を風刺。批判ではなく毒を含む笑いに昇華する痛快さが、支持されてきた。

背景にあるのは、「国民が感じているもやもや感」(山本)を読み取り、政治との距離を見抜く鋭い観察眼だ。

似てないけれど

スガ前首相を演じてきた山本は「見た目が似ているだけでは10分のコントの1分しかもたない」と指摘した上で、「あとの9分はネタの勝負。『似てないけれど、だんだんその人に見えてきた』と言われるのを目指している」と語る。

外見は発展途上のキシダ首相だが、〝笑いどころ〟は見えてきたという。

浜田は「岸田さん自体のキャラがまだ知られていない。だから『いい人』や『地味』というイメージの裏側を想像して、絶対に本人はしないようなぶっとんだネタをあえてやるのも面白い」と笑みを浮かべる。

大阪では15日、大阪市北区のサンケイホールブリーゼで〝キシダ政権〟を初披露。浜田と山本は「舞台では忖度(そんたく)せずに言いたいことを言って思い切り泳げる。この閉塞(へいそく)的な世の中、嫌な時代を笑い飛ばしにきませんか」と話した。

ザ・ニュースペーパーの公演の問い合わせはブリーゼチケットセンター(06・6341・8888)まで。(田中佐和)


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