山梨県を代表する土産の「桔梗(ききょう)信玄餅」の新商品が人気沸騰中だ。容器をもなかにして、食べられるようにした「桔梗信玄餅極(きわみ)」。昨年12月24日に発売されると、会員制交流サイト(SNS)などで一気に話題となった。製造販売する桔梗屋の甲府本館など県内5店舗だけで店頭販売されているが、数量も限られ、開店直後にすぐ売り切れてしまい、県民にとっても入手困難な〝幻〟の商品という状況が続いている。
開店直後に即完売
「すみません。もう売り切れました」
昨年の12月末、JR甲府駅の駅ビルに入る桔梗屋の店舗に行くと、開店から30分たっていないのに「極」はすでに売り切れていた。店頭には「1人様1個限定」と告知があるが、店員によると、開店時にはすでに行列ができており、即完売だったという。
今度は1月上旬、甲府市青沼の甲府本館の開店時刻直後に到着。すでに店内には十数人が並んでいた。順番が回ってきて残り2個のところで1個を購入できた。その後も「極」を求める人が数人来店したが、売り切れと聞いてがっかりしていた。こちらも、開店即完売が続いている状況だ。
50年越しの要望実現
山梨土産の定番とされる、戦国武将の武田信玄の名を冠した「桔梗信玄餅」は、プラスチック製容器に餅ときなこが入り、それに黒蜜をかけ、からめて食べる。しかし、餅ときなこが容器にたっぷり入っているため、黒蜜をかけるとこぼれてしまうなど、食べ方は難しい。
昭和43年の発売当初から「最後に黒蜜ときなこが余ってしまう」「食べにくい」などの意見に加え、「容器ごと食べられるようにしてほしい」という要望が相次いだという。これを受け、現在は相談役の桔梗屋4代目の中丸真治氏らが中心となって、容器も食べることのできる桔梗信玄餅の開発が始まった。
食べることができる容器でさまざまな食品を試したが、餅、きなこ、黒蜜との相性を考え、もなかを採用することをまず、決めた。しかし、もなかの強度や製造工程、販売価格などの問題があり、実際に販売できる商品に仕上がったのは、50年以上経過した昨年末だった。今回実現できたブレークスルーポイントは社外秘という。
食べ方に工夫も
購入した3個入りの「極」を実際に食してみた。
もなかの中に餅が3つときなこが詰まっているが、1個目はその上にそのまま黒蜜を全部かけた。そのため、蜜ときなこをうまく餅に絡められず、きなこは外にこぼれてしまう。ゆっくりとかき混ぜ、餅を3つ食べることができたが、最後は容器のもなかときなこだけになり、それをほおばると、口がパサパサになってしまった。
2個めは、蜜を3分の1程度たらし、餅1つに絡めて食べる。2つ目の餅も同様。最後に餅が1つ残っている容器に残りの蜜を全て入れ、かき回し、もなかごと楽しむ。これはうまくいった。
商品には食べ方の説明はついていないが、食べ方を工夫する必要がありそうだ。
販売店舗拡充へ
発売から半月が経過するが、「極」人気は衰えていない。特に本来の開発意図とは別に、容器を捨てることなく食べることで、プラゴミ削減につなげられることは国連の開発目標である「SDGs」の流れとも偶然にもマッチしていることは大きな追い風だ。
想定以上の人気に、品質の保証できない不正転売が確認されるなど、桔梗屋は頭を悩ませている。同社は製造体制を整え、県外を含めた販売店舗拡充を目指す方針という。とはいえ「従来の桔梗信玄餅は今まで通り販売する」(企画室)とのことで、従来品ファンも安心できそうだ。(平尾孝)
































