みずほ、またも興銀出身社長 抜本的な変革みえず

    平成入行の木原正裕氏を新社長に据えることで、みずほフィナンシャルグループ(FG)の経営体制は一気に若返る。だが、一連のシステム障害の背景に旧日本興業銀行主導の経営改革があると指摘される中、木原氏の就任でトップは3代続けて興銀出身者が務めることになる。人事からは抜本的な組織改革が見えにくく、経営統合以来の旧行意識を取り払えるかは見通せない。

    メガバンクの合併では、三菱UFJFGが旧三菱銀行、三井住友FGが旧住友銀行と主に救済(買収)した銀行側が経営の主導権を握り、決済システムも買収側に寄せ一体化を図った。

    これに対し、みずほは日本興業、第一勧業、富士の旧3行が対等合併にこだわり、メガバンクグループでも特に出身行への帰属意識が強い。主導権争いは度重なるシステムトラブルや暴力団融資問題など不祥事の温床になり、今回も旧3行のシステム業者を一本化せず引き継いだ勘定系基幹システム「MINORI(みのり)」が障害を多発させる結果を招いた。

    今回のトップ人事では2代続いた興銀出身トップを避けるため勧銀出身の今井誠司副社長らの登用も取り沙汰されたが、世代交代による企業風土の刷新をアピールするため平成入行の木原氏に落ち着いた経緯がある。

    木原氏は岸田文雄首相の最側近で知られる木原誠二官房副長官の実兄ということもあり、「政権や金融当局への対応の円滑化を図った人事」(金融業関係者)との見方もある。今井氏はFG会長に回り、富士出身の加藤勝彦みずほ銀行副頭取がみずほ銀頭取に就くことで結果的に旧行がグループ3首脳のポストを分け合う形となった。

    旧行意識の垣根を取り払い、企業風土を刷新するには、「外部人材をトップに据えるくらいの思い切った組織改編が必要」とも指摘される。だが、社外取締役で構成する指名委員会の甲斐中辰夫委員長(元最高裁判事)は17日の記者会見で「外部から専門知識のない人がメガバンクのトップを務めるのは難しい」と難色を示した。

    甲斐中氏は「(旧3行の)バランスを取ったようであれば指名委失格だ。ふさわしい人を冷静に考えた」とも語ったが、このままの慣例が続くなら、平成12年の3行統合後に入行した「みずほ入行組」がトップになるまで旧行意識の改革はお預けになる恐れがある。(西村利也)

    みずほ銀は17日、日本IBMで副社長を務めた下野雅承氏(68)を社外取締役に招く人事を発表した。4月1日付。

    >厳戒態勢での〝凡ミス〟みずほ、背水の船出


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