対面授業に是非論争 オミクロン蔓延の米国 ボイコットも

    【ニューヨーク=平田雄介】新型コロナウイルスの新変異株オミクロン株が蔓延(まんえん)する米国で、学校での感染拡大への不安から対面授業の継続を疑問視する動きが広がった。換気設備の導入など学校での感染防止策に昨年約1300億ドル(約15兆円)の予算をつけたバイデン大統領は「学校は安全だ」と継続を訴えたが、オンライン授業の実施を求める一部の教員や生徒による授業ボイコットが起きた。

    「学校で新型コロナに感染し、同居中の祖父母にうつるリスクを避けたい」。東部ボストン市で14日、授業ボイコットに参加した高校生はロイター通信の取材に動機をこう語った。

    授業ボイコットは、市内の高校生徒会の代表者らでつくる学生団体が2週間のオンライン授業の実施と検査態勢の改善を求めて呼びかけた。約600人が参加し、多くは平和的なデモのあとで学校に登校した。

    中西部シカゴ市では、教職員組合が5~12日に授業をボイコットした。対面授業継続を唱えるライトフット市長らに「教育に携わる人と児童・生徒を危険にさらしている」と反発した。学校の検査態勢を強化することで対面での授業再開に同意したが、児童・生徒30万人超に影響が出た。

    東部ニューヨーク市の公立校では、出席率が低下した。昨年秋の約9割から年明けに約7割に落ち込み、3割を切る高校もある。地元紙によると、学校での感染を恐れ、登校を見合わせる家庭が増えたことが一因という。市教育局は対面授業を維持する一方で、在宅で自習する児童・生徒がオンラインで教師の直接指導を受けられるよう、教職員組合と協議を始めた。

    他方、東部メリーランド州プリンスジョージ郡は先月17日、対面授業を一時中断しオンライン授業に切り替えると発表した。高機能マスクの配布や検査態勢を強化したうえで、今月18日に対面授業を再開する。

    また、教員やスクールバスの運転手ら学校スタッフの病欠や隔離による人員不足で対面授業を中断するケースも報告されている。教育関連の調査会社バービオのまとめでは、14日に対面授業を中断した学校は4650校。米国初のオミクロン株の感染例を米疾病対策センターが発表した先月1日以来、最多となった。

    ボストン市では今月10日に学校スタッフ1200人が欠勤し、ウー市長が「人手の問題でオンライン授業が必要となり、それが学習を管理するのに最も安全な方法なら、その選択肢を取るつもりだ」と対面授業の中断を示唆した。


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