電機大手がデジタル技術で暮らしや産業を変革させる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」事業を強化している。少子高齢化やインフラ老朽化といった社会課題に対応する手段としても注目され、行政のデジタル化の動きも広がる。サービスを体験できる展示場の開設や専門知識を備えた人材育成に取り組み、商機拡大を狙う。
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三菱電機は昨年12月、DXなどをテーマにした展示場を東京都内に開設した。小型電動車の自動運転システムや、赤外線センサーと人工知能(AI)を使った高齢者施設向けの見守りシステムなど17のサービスを展示した。
企業や自治体の担当者らに実際に使ってもらうことで「DXによるサービス向上をイメージしやすくなる」(広報)。年間で約200団体の来場を見込み、旺盛な需要を取り込みたい考えだ。
新型コロナウイルス流行に伴うリモートワークなどデジタル化の加速で、企業のDXへの関心は高まっている。富士キメラ総研の予測によると、令和12年度の国内市場は3兆425億円で元年度の3.8倍に成長する。特に交通や運輸関連が伸びる見込みだ。
DX事業に力を入れるNECは7年度までにデジタル人材を1万人に倍増させる計画。サイバーセキュリティーや生体認証など成長分野を中心に人材を確保し、育成のノウハウは外部企業にも販売。日立製作所もDX分野への投資を積極的に進める。
コニカミノルタは昨年10月、自治体向けDX専門の新会社を設立した。デジタル庁が同9月に発足し、自治体のデジタル化が進むと判断した。AIを活用したサービスで業務改革につなげる。全国約1700自治体のうち、5年度までに1000自治体での展開を目指す。