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大阪で初詣といえば住吉大社(大阪市住吉区)だ。大阪人が親しみを込めて「すみよっさん」と呼ぶこの神社に行くのなら、阪堺電気軌道(阪堺電車)に乗らねばならない。大阪市南部と堺市をつなぐ路線の真ん中に住吉大社がでんと座り、乗ると鳥居の前まで連れて行ってくれる。
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元日の朝、始点駅のひとつ、天王寺駅前から住吉大社方面行きに乗った。向かい合わせの座席は華やかな晴れ着が目立ち、正月気分が盛り上がる。運転手の児玉新さん(43)は「正月は一番気合が入ります」という。商業ビルが立ち並ぶあべの筋から、高級住宅地の帝塚山へ景色が変わり、やがて新年を祝う提灯(ちょうちん)がずらりと並ぶ住吉鳥居前に到着した。
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今は南海電鉄の完全子会社で大阪唯一の路面電車の阪堺電車は、さまざまなデザインの車両がある。明治33年開業の長い歴史のなかで数多くの車両を使用した名残だが、ひと際目立つのが現役最古の昭和3年製モ161形電車4両だ。
なかでも人気は、かつて合併して同じ会社だった南海電鉄にちなむ「南海グリーン」の濃い緑色の車体にケヤキの扉をつけた特別車両だ。同形で最初につくられたという意味のトップナンバー、モ161号で、傷んだ塗装や扉の修繕費用をクラウドファンディングで募ると、予定の2倍の約1400万円が集まった。
修繕が終わったモ161号は貸し切り運行が主となるが、2月末まではお披露目のため一般営業で運行。だが今回は残念ながら乗ることができなかった。もし初詣で乗れた人がいたのなら、今年の運勢は、絶対大吉で間違いなしだ。
(写真報道局 永田直也)