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電力大手、海外に収益拡大チャンス 政府支援追い風 国内に知見還元

電力大手各社が海外事業を強化している。国内で培った発電技術やノウハウを提供し、収益を増やすのが狙いだ。海外企業との連携で得た知見を国内事業に生かすといった相乗効果も引き出す。企業の海外展開に対しては、公的金融機関による資金援助だけでなく、特に地熱発電に関して政府が円滑に進むよう制度を整備するといった〝後方支援〟の動きもある。各社の進出が一段と活発化しそうだ。

エネコなどが運営するオランダのルフタダウネン洋上風力発電所(中部電力提供)
エネコなどが運営するオランダのルフタダウネン洋上風力発電所(中部電力提供)

中部電力は、2020(令和2)年に買収した欧州を代表するオランダの電力大手「エネコ」を通じて、海外で再生可能エネルギー発電や小売り、新サービス事業を始めている。また、ドイツや英国の海底送電線事業、ベトナムの水力・再エネ事業会社への投資など、多くの海外案件に参画、着手している。

中部電は収益を拡大するため、30年度までに海外事業に4000億円程度を投資する方針。30年の連結経常利益の目標は2500億円だが、このうち海外事業の割合を700億~800億円としている。海外事業の目標額は東京電力ホールディングスと共同出資するJERA分を含むが、全体の3分の1弱をここで稼ぐ計画だ。

中部電の佐藤裕紀執行役員経営戦略本部部長は、巨額の投資を表明したことで「会社として海外事業に対するメッセージを市場に打ち出せ、結果として事業の創出機会が増えている」と話す。また、エネコが脱炭素に向け、水素製造や洋上風力発電に注力していることを挙げ、「技術者を派遣して得た知見を国内の洋上風力に生かすほか、小売りのサービスメニューなどは互いに学ぶものがある」と、今後の展開に期待を寄せる。

関西電力も海外事業を推進する。再エネを中心とした発電事業に力を入れ、風車を海に浮かべる「浮体式」の洋上風力発電など新技術の移転活用も検討する。エリアでは、東南アジア、北米、欧州の3つを中心に展開していく。

九州電力は、海外発電設備の持ち分の出力を30年に20年度実績の約2倍となる500万キロワットまで高める。海外に注力し、連結経常利益を21年3月期の約550億円から1500億円に3倍弱引き上げる。

九電は、地熱発電に力を入れている。地熱による国内発電量はトップクラスだ。この強みを生かし、インドネシア北スマトラ州で合計出力33万キロワットと世界最大級の地熱発電プロジェクトを始動。このほかアラブ首長国連邦(UAE)では発電・造水事業も手掛ける。

海外事業には停滞や頓挫といったリスクを伴うものも多い。中部電の佐藤氏は、「国のバックアップに期待したい」と強調する。

こうした要望に応える形で、政府は海外の地熱発電事業に進出しやすくなるよう資金支援制度を新設する方針。地熱発電に着目したのは発電用タービンなど関連機器メーカーを含め日本勢が優位とされるためで、関連法改正で後押しする。「50年脱炭素」に向け、政府の取り組みも加速する。(那須慎一)


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