▼出産後7日目、痛みをこらえて資金調達へ
資金調達は出産後も続いていました。そんな中、とあるVC(ベンチャーキャピタル)で、投資の意思決定をしていただくための「投資委員会」と言われる投資の最終意思決定を行うミーティングが、出産の7日後に設定されたことがありました。投資の意思決定者が全員参加し、改めてプレゼンを求められていました。
私はまだ体の色んなところが痛い状況ではありましたが(笑)、これは経営者である私の重要な仕事です。本気でドーナツ座布団を持参するか悩みながらも(笑)、VCを往訪しました(この時はまだリモートという概念がなかったのです)。
VC側の担当女性「いつ産まれるのー?」
私「あ、1週間前に産みました!」
VC側の担当女性「えーーー! そんなタイミングで来てくれたんですか? えー!えー!! 無痛? 自然分娩??」
といった会話になったことは今でもよく覚えています。
その投資委員会は無事に通過し、めでたく投資していただくことが決まり、そのVCには今でも大変お世話になっています。後から投資委員会を通過したポイントを伺いました。
「出産直後の体で投資委員会に来たこと。そんなことされたら投資するしかないよ! これ以上の覚悟の表れはないと思った」
VC側のご担当者はそのように言ってくださったのです。
このエピソードを紹介することで、「女性経営者たるもの、出産直後であっても資金調達のためには無理をしたほうがいい」と言っているわけではもちろんありません! 私にとって、この出産直後の投資委員会は、どんな時でも、自分にできることに最大限コミットすることの大切さを改めて教えていただく機会となったのです。
女性は、出産で何かをあきらめなくていい
▼すべては支えてくださる方々のおかげ
このように、妊娠中から出産直前、そして出産後も、新米経営者として濃厚な日々を過ごしていたのです。
今回、私がお伝えしたかったこと。それは、「自分が頑張った!」とか「自分を褒めたい」と言ったことではなく、全ては日々支えてくださる周りの方々のおかげということ。そして、どんな状況でも「自分にしかできなこと」を考え、行動していくことの大切さです。
妊娠から出産後も仕事を続けられているのは、間違いなくCOOの真弓や社員のみんなの支えと理解のおかげであり、株主の皆さんや友人含め、私と関わってくれている全ての人が支援をしてくれているからです。感謝しかありません。
こういう環境や雰囲気を作ってくれているので、甘えさせてもらう部分もあります。その代わり、自分にしかできない仕事や役割に死ぬ気でコミットしようと思えるのです。また、社員にも出産がポジティブなものとなるよう、できる限りのサポートを構築したいと心から思って設計しています。
▼私の働き方はおすすめしません!
そして大切なことをもう一つ。誤解を生まないためにお伝えさせてください。
出産直前までピッチ大会に出続け、出産7日後には資金調達へ赴く…。私は決してこのような無茶な働き方を勧めているわけではありません。
結果的に私が仕事を続けられたのは、妊娠から出産まで、そして出産後も母子ともに健康だったからです。妊娠中の過ごし方・産み方・育て方・働き方は人それぞれ。でも、出産で何かを諦めなきゃいけないと思っている人がいるとしたら、今回ご紹介した私のエピソードが、妊娠・出産・仕事について背中を押す一つの材料になったら嬉しいと思っています。