「部品が無い!」冷や汗をかく日本人に対してロシア人部長は…日露ビジネスエピソード

    アレックス:一応、ビジネスメールのマナーもありますが、関係ないことは書かないです。日本はメール一つとっても、すべてが綺麗だと思います。ロシアのメールは、「この人、今メール打っている途中で思い出して書いたよな!」っていうのがすぐに分かります。日本人のメールは作文みたいにとても綺麗です。おそらく見直しているんだと思いますが。ロシアでは、ビジネスにおいても、メッセージアプリでやり取りが多くなってきています。「今起きたとこだから、歯磨いたらすぐ資料送るわ!」みたいなやり取りもあります(笑)。

    あしや:日本人の国民性が出てますね。全部完璧に、みたいに。

    アレックス:ほとんどの日本人は、ロシアの法律、ルールになかなか適応できないと思います。

    あしや:ロシアとのビジネスをやってみたい人も多いと聞くのですが、難しすぎるみたいですね。

    アレックス:ロシアとビジネスしている日本人は性格強い人が多いです(笑)。すごく大胆。ずっとロシアに揉まれているから、そうなるんですよ。ロシアは市役所、税務署に行くといじわるされるじゃないですか。良心的でなく、誰も何も教えてくれない。「無知なのはあなたの問題です」という感じ。

    あしや:確かに、そういうところはありますね。

    アレックス:ロシアの役所手続き等、心が折れそうになったことは何度もありますね。圧迫感もありますし。だから、性格が強くないと生き残れない。そういうところだと思います。逆に、日本でビジネスをするロシア人は「郷に入れば郷に従う」ことが必要です。いかに良いビジネスマンでも、ルールを守れるようにならないと、ビジネスはできないですね。例えばタクシーに乗るときの順番とかもそうですね。

    あしや:普段YouTubeをやっていて、「日本とロシアのことを理解しているのに、どうしてロシアとビジネスしないの?」と聞かれることがあります。私には無理だと思いますね。通訳は楽しいけど、自分でビジネスとなると、責任の桁も違いますし。それから、ロシアで役所手続きはやりたくないです。

    アレックス:あれはトラウマになりますよね。僕も、ビジネスでロシアとは関わりたくはなかったけれど、自分はロシア人だし、自分が知っていることの方がビジネスにおいて圧倒的に強い。勉強しなくても、蜂蜜が他の国と違っておいしいということは昔から知っていますよね。それを知らない人達が世界にはたくさんいます。学ばなくても素材がたくさんあるので、それを生きる手段にできると思いました。

    あしや:良いものを日本人に知ってほしいという気持ちは私にもあります。日本にあまりないロシアの食品といえば、紅茶ですかね。

    アレックス:そこですよ。YouTubeで飲んでるだけで、「あしやちゃん、何飲んでるんだろう」って思う人もいます。飲むだけじゃなくて、ロシアではハーブティを作った後の茶葉を顔にのせて、美容に役立てる人もいます。そういう文化をあしやさんが発信して、人気がでればそれもまたビジネスになります。

    あしや:また連絡させてください(笑)。最後に、今後の事業展開について聞かせて頂けますか?

    アレックス:今後の事業展開は、「正しい文化の輸出入」です。お金はもちろん必要だけど、輸出入においては、正しい文化認知が必要だと思うのです。ロシア人といえば、「原爆のスイッチ」「いつもウオッカばかり飲む」「怖い」とかそんな偏見を持たれがちです。

    あしや:確かに、普通に紅茶飲みますね。

    アレックス:これまではイメージや商品だけが先行して正しい文化がきちんと伝えられていなかったと思うのです。今は、ロシア式テントサウナ(バーニャ)の輸入を行っていますが、それだけでなく、ロシア大使館任命でバーニャ大使もやりながら、文化とともにバーニャを日本に広めていきたいと考えています。それだけでなく、狩りの文化も広めたいと思っています。狩りは動物というイメージが強いですが、「きのこ狩り」等も狩りの一種です。日本で狩りのツアーを格安でできるサービスを企画しています。

    来年以降は、ロシアで日本食料理の飲食店の経営もする予定です。今、日本食はロシアで高所得者層だけのものです。ビジネスマンは金儲けを先に考えるので、ラーメン1杯で4,000円もする店もあります。それ以外にもありますが、安いお店では、インスタントラーメンをそのまま出したりと本当にひどいです。きちんと作り方、貿易方法を知っていれば、日本の良いものを広めることが出来ると考えています。

    100年前、ウラジオストクには日本街があったそうです。そこでは、当時日本酒が作られていたのですが、その100年前の歴史を呼び覚まし、企業と協業してロシアで初めての日本の酒蔵を作ることも考えているので、今後の活動に期待していただきたいです!

    あしや:すごい。本当に色々な事業をされてますし、何よりやっていることが本当に大胆ですね。

    アレックス:そうですね。話してみると確かにかなり大胆です。たぶん、私はロシア人ですね(笑)。

    あしや:たぶんというか、どこからどう見てもロシア人ですね。本日は本当に有難うございました。貴重なお話をたくさんお伺いできてとても楽しかったです。

    取材協力:

    株式会社Adapty

    BANYA JAPAN|ロシアで最も人気のテントバーニャ 「TERMA(テルマ)」


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