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瀬戸内の離島まるごと活性化 Z世代のアイデア

瀬戸内海に浮かぶ離島のひとつ、粟島(香川県三豊市)。島民170人ほどの小さな島を活気づけようと、県立善通寺第一高校(善通寺市)の生徒たちが、島のブランディングデザインに取り組んだ。キャッチフレーズやロゴマーク、PR動画、アート作品などを総合的に作り上げたプロ顔負けの完成度。今月10日には島民へのお披露目会が開催されたが、島の人たちも「若さと情熱、島への思いの強さに感動した」と絶賛している。

デザイン科の3年生が粟島の人たちと一緒に、「粟島スクリュー」と名付けたロープの総角結びに励んだ=香川県三豊市(善通寺第一高校提供)
デザイン科の3年生が粟島の人たちと一緒に、「粟島スクリュー」と名付けたロープの総角結びに励んだ=香川県三豊市(善通寺第一高校提供)

スクリューをモチーフに

挑戦したのは、善通寺第一高校デザイン科3年生の30人。授業の課題研究の一環として取り組んだ。昨年3月以来、足かけ10カ月に及ぶプロジェクトで、生徒たちは夏休みや週末などを使って島に足を運び、作品を仕上げたという。制作には島民も協力した。

粟島は、三豊市の須田港から定期船で約15分。島民の平均年齢は75歳と高齢化が進んだ島だ。江戸時代は北前船の寄港地だったり、明治期には国内初の海員養成学校ができたりした歴史がある。

生徒たちはまずは、キャッチフレーズを「船出の誇りとはなむけの島」と決めた。また、島の形が船のスクリューに似た形状をしていることなどから、スクリューを模したロゴマークやブランドカラー「粟島ブルー」などを作り上げた。

ブランドの象徴として展示するアート作品も制作。元中学校を利用した「日々の笑学校」(粟島芸術家村)に、4万5千本以上のロープを使い、総角(あげまき)結びのロープを漁網のように島の形に編んで頭上につるし、床にはスクリューの形に総角結びを積み重ねた。

これは、参加型の現代アートになっており、見に来た人が好きな色の総角結びを作って、床の好きな場所に置いていくことで、作品が成長する仕掛けになっている。

お土産用のグッズとしてアクセサリーも考案、約3分間のPR動画も制作した。

伝統のコマ撮りアニメ

善通寺第一高校では平成19年にデザイン科を開設。例年、クラス全体で課題研究に取り組んできた。

令和2年に卒業した先輩たちは、善通寺市をPRする「黒板アートアニメ」を制作し、卒業後の2020年5月に「ニューヨークフェスティバル」の広告賞学生部門でファイナリストに選出された。歴史のある世界最大級の広告ビジネスの国際総合コンテストで、プロを目指す海外の大学が組織的に挑むコンテストで、高い評価を受けたことは地元でも話題になった。

昨年の3年生は香川県三木町の段ボールメーカーと連携し、同様の手法を用いて「段ボール応援PR動画」を完成させ、同フェスで2年連続ファイナリストを射止めた。

毎年、地域社会や地元企業の課題に対してクラス全体で1つのテーマを決めて課題研究に取り組むスタイルが、受け継がれているという。先輩たちの快挙に今年の3年生たちも刺激を受けたといい、PR動画の中にコマ撮りアニメの手法を取り入れている。

関心持つきっかけに

日々の笑学校で行われたお披露目会には、生徒たちが島民からもらった「笑(わらい)Tシャツ」に身を包み、島民約30人を前に、PR動画を流した後、プロジェクトの紹介を行った。

統括リーダーの3年生、井上和音さんは「粟島の魅力を表現し切るにはどうしたらいいか、考えに考えた。島のみなさんに感謝したい。多くの人が粟島に関心を持つきっかけになってほしい」と話していた。

指導した井上猛教諭は「やりたいことをみんなで決め、休みを自主的に返上して打ち込む。この経験が大学生活や就職にも生きると思う」と話していた。

島民たちも作品を気に入った様子で、住民の松田悦子さん(77)は「若さと情熱、島への思いの強さに感動した。発想がすごく、インパクトが強い」、日々の笑学校で運営ボランティアをしている佐藤哲士さん(74)は「孫みたいで一緒にやれて楽しかった」と話していた。

作品は今年開催の瀬戸内国際芸術祭でも展示される見通しで、話題を呼びそうだ。(和田基宏)


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