ヘルスケアや医療サービスの土台に
かつてない画期的な採寸技術にアパレル通販を始めとする様々な企業が注目。大手百貨店のそごう・西武が紳士服ワイシャツ売場で「非接触型採寸サービス」として導入したり、寝具メーカーのエアウィーヴがマットレスを体型別に個別仕様化するための採寸技術として採用するなど、リリースからわずか1年半の間に約30社の企業とパートナー契約を結んだ。
その一つに衛生用品の大手メーカー、ユニ・チャームがある。ラインナップが豊富な大人用紙おむつの中から最適な商品・サイズを選べるようサポートする機能としてボディグラムを使ったカウンセリングを昨年末から無料で開始した。
ユニ・チャームによると、大人用紙おむつの購入を目的に来店する人の約9割は介護者で、要介護者の衣類や下着のサイズを参考に紙おむつを選ぶものの、約4割の要介護者が適さないサイズを使用しており、その結果、擦れや漏れ等が起き、介護現場でのQOL(生活の質)の低下や介護者の負担増の要因にもなっている。しかし要介護者が実際に来店してサイズを確認するのは難しく、店頭でさまざまなサイズ提案に取り組むも、最終的には「購入して試すしかない」というのが現状だという。
この問題に対してボディグラムと通話アプリのLINE(ライン)のチャット機能を組み合わせたカウンセリングサービスを開設したところ、プロモーションを行っていないにも関わらず、サービス登録者の数は12月のサービス開始から1カ月足らずで500 人に達した。
使い方は通常のボディグラムと同じで、スマートフォンで使用者の2枚の写真を撮影し、身長・体重・性別・年齢を入力すると、太ももとウエスト、ヒップのサイズが自動で計測され、おすすめ商品とサイズへが案内される仕組みになっている。利用者からは、「サイズが合っていないのではと思ったことがあるので、ジャストサイズを知れて安心した」「家族が使うもので、どれが良いか分からずに購入していたので、今後の購入の参考になる」といった声が寄せられているという。
ユニ・チャームはボディグラムにとって初の介護領域でのパートナーとなるが、アイバさんは「個々の身体情報が重要になるヘルスケアやメディカル領域において、ボディグラムはそれらのサービスの土台となれる可能性がある」と手応えを感じている。
「自分の体を知ることで何をしたいか。ショッピングやフィットネス、医療サービス等、ユーザーがボディグラムを使う意図の一歩先のサービスを提案できるようなエコシステムを構築していきたい」と今後の展望について語るアイバさん。「世界最大のボディデータをもつプラットフォーム」を目指す同社の技術が、社会にどのような価値を提供し、ビジネスのニーズを開拓していくのか、今後の展開に注目だ。