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国連安保理、深刻な機能不全 北ミサイル非難もできず

国連安全保障理事会の機能不全が深刻さを増している。北朝鮮による全ての弾道ミサイル発射が安保理決議で禁止されているにもかかわらず、今月だけで計6発を発射した北朝鮮への追加制裁はおろか、非難声明の採択すらできない。拒否権を持つ中国とロシアが、短距離弾道ミサイル発射を事実上容認する姿勢をみせているためだ。

国連外交筋によると、中国は昨年10月、北朝鮮が長距離の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験を自粛していることを評価し、制裁緩和を「前向きに検討する」とした決議案を配布した。ロシアも足並みをそろえ、中国とともに制裁緩和を他の安保理メンバーに働きかけた。

中露はこの立場を今も維持しているとみられ、20日の非公開会合では米国が主導する対北非難声明の採択に賛同しなかった。短距離ミサイル発射に厳しい姿勢をとるよりも、北朝鮮との対話機運を醸成する方が重要だと考えているようだ。

中露の動きにより、飛距離に関係なく北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁じた安保理決議は形骸化しかねない。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は非公開会合に先立ち、中露の求める制裁緩和は「北朝鮮に白紙委任状を与えることになる」と述べて強い警戒感を示した。

非公開会合では、北朝鮮がICBM発射と核実験の再開を示唆した問題も議論された。中国の代表は「盲目的に制裁や圧力に頼れば、緊張をエスカレートさせる」との認識を示し、追加制裁を求める米国に対して「北朝鮮の正当な安全保障上の懸念に応える」よう呼びかけたという。

北朝鮮はウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理も続けているとされる。北朝鮮が核実験を再開すれば、核保有国を米英仏中露の安保理常任理事国に限定した核拡散防止条約(NPT)に基づく秩序が動揺する。

しかし、最近の中露は、核不拡散よりも、北朝鮮やイランとの「反米枢軸」形成を重視している印象だ。中露はイラン核合意の修復に関するイランと米国の間接協議をめぐっても、イランの立場を支持してきた。

2006年以降に繰り返し採択された北朝鮮の核・ミサイル開発を非難する安保理決議は、17年を最後に採択されていない。無力を露呈する安保理の現状は、米国と中露が対峙(たいじ)する国際社会の縮図にほかならない。(ニューヨーク 平田雄介)


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