緊張高まるゼロコロナ政策 北京五輪まで2週間

    北京市中心部の繁華街、西単に置かれた五輪マークなどが描かれた展示物=20日(三塚聖平撮影)
    北京市中心部の繁華街、西単に置かれた五輪マークなどが描かれた展示物=20日(三塚聖平撮影)

    【北京=三塚聖平】2月4日の北京冬季五輪開幕まで21日で2週間。北京市内では大会本番に向けた準備作業が進んでおり、各所に公式マスコットをあしらった飾りが配置されるなど五輪ムードの盛り上げに躍起だ。北京でも新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が確認され、予定されていたチケットの一般販売の取りやめが決まるなど影を落としている。

    北京では21日、市内の道路で大会関係車両の専用レーンの運用が始まった。五輪マークが描かれた専用レーンにはほとんど車が走っておらず、その周囲では渋滞がひどくなっていた。

    市内中心部の天安門広場や、目抜き通りの長安街には冬季五輪開催を記念した巨大な展示物が置かれた。多くの中国国民にはなじみのない冬季五輪の雰囲気を高めようとしている。

    懸念されるのは新型コロナだ。北京では15日にオミクロン株の市中感染者が初確認され、デルタ株も含めて散発的な感染拡大が続く。当局の発表によると、20日には海外からの入国者を除き5人の感染者を確認。習近平政権は、わずかな感染拡大も許さない「ゼロコロナ政策」をとっており緊張が高まる。17日には観戦チケットを一般向けに販売しないことを決め、関係者や招待客など限られた観客のみを受け入れることになった。「観戦前の14日間は北京から離れない」といった厳しい条件が付けられる見通しだ。

    感染対策の柱は、選手ら大会関係者と外部の接触を遮断する「バブル方式」の徹底だ。大会関係者は、ワクチン接種を終えていれば入国後の隔離措置が免除されるものの、滞在中に移動できるのは宿泊施設と会場などに限られる。外部と遮断されたバブル内で活動する地元スタッフも期間中は帰宅できない徹底ぶりだ。

    大会関係者の入国ルートがある北京首都国際空港の第3ターミナルは、フロアの中央部分に高い壁が設けられるなど一般客と動線が完全に分けられている。

    北京当局は9日、大会関係車両と事故になった場合でも、救助などはせず「車や車内の人員と接触しないで、専門の担当者が現場に来るのを待つように」と市民に呼び掛けた。大会関係者を通じたウイルスの国内流入を極度に警戒している。北京の日系企業関係者は「北京五輪のバブルは選手ではなく、中国をウイルスから守ることに重点が置かれている」と指摘する。


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