• 日経平均26491.97320.72
  • ドル円135.17135.27

<独自>奈文研の年輪年代法データ「不開示は不当」 市民団体が提訴へ

遺跡や建築物に用いられた木材の年輪幅から伐採年を特定する「年輪年代法」をめぐり、日本でこの測定法を確立した奈良文化財研究所(奈文研、奈良市)が、年輪幅の基礎データの開示を求めた市民団体の情報公開請求に対し、調査研究への支障を理由に不開示としていたことが23日、関係者への取材で分かった。

国内で初めて年輪年代法を確立した奈良文化財研究所=奈良市
国内で初めて年輪年代法を確立した奈良文化財研究所=奈良市

測定法の確立からはすでに30年以上が経過しており、団体側は「研究に支障が生じるとは考えられない」として、近く不開示決定の取り消しを求め、提訴する方針。

年輪年代法は、奈文研の前身である奈良国立文化財研究所の光谷(みつたに)拓実氏が昭和55年に研究に着手。ヒノキについて、紀元前から約2千年分の年ごとの年輪幅が分かる「暦年標準パターン」を平成2年までに確立。その後、範囲を広げ、現在ではヒノキとスギの約3千年分の年代を測定できるようになっている。

団体が開示を求めたのは採取した木材の年輪を撮影した画像や年輪幅の計測結果など「暦年標準パターン」の作成に用いられた基礎データ。昨年7月に奈文研側に公開を求めたところ「調査研究の公正かつ能率的な遂行を不当に阻害する恐れがある」として不開示の決定を受けた。

団体側は「暦年標準パターン自体は平成2年に公表され、30年余り経過している。基礎データの開示で調査研究を阻害する恐れが生じるとはいえない」と不開示に反発。暦年標準パターンが年代測定の「物差し」になっているにもかかわらず、その妥当性を示すデータを公開しないのは不当だと主張しており、奈文研を運営する独立行政法人国立文化財機構(東京)を相手取り、近く東京地裁に訴訟を起こす。

産経新聞の取材では、基礎データは奈文研本体ではなく、20年に奈文研を退職し、今は客員研究員となっている光谷氏が個人で管理。取材に対し光谷氏は「今は自分が作成した暦年標準パターンの年代をさらに延ばすため、サンプルとなる木材の採取・測定を継続している。データを整理した上で奈文研にわたすのが私の責務」と話し、不開示決定については「知らなかった」とした。

一方、奈文研側は不開示決定について「調査研究がまだ完了していない」と述べるにとどめた。

文部科学省が26年に策定したガイドラインでは、各研究機関が研究者に対し、研究データを一定期間保存し、適切に管理・開示するよう義務付け、第三者による検証可能性を確保することを求めている。

年輪年代法 気温や降水量、日照量の違いで幅が変わる樹木の年輪の特徴を利用した科学的な年代測定法。20世紀初頭に米国で開発された。大量の木材の年輪幅を100分の1ミリ単位で計測し、平均的な年輪の変動をパターン化したグラフ「暦年標準パターン」を作成。これを年代特定の「物差し」として、実際に遺跡で出土した木材の年輪幅と照合することで伐採年代を割り出す。これまで遺跡に残る柱根の伐採年から奈良時代に聖武天皇が造営した紫香楽宮(しがらきのみや)=滋賀県甲賀市=の特定につなげたり、法隆寺五重塔(奈良県斑鳩町)の心柱の伐採年を594年と判定したりして成果を挙げている。



Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)