<独自>静岡県、盛り土巡視班新設 常時監視体制構築へ7千万円予算計上

    甚大な被害をもたらした昨年7月の静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区での土石流災害を受けた盛り土規制強化策をめぐり、静岡県が「盛り土パトロール班」(仮称)の新設など、違法な盛り土を見過ごさないよう常時監視体制を構築する方針であることが24日、関係者への取材で分かった。県議会2月定例会での可決を目指す新たな盛り土規制条例案による、土石流災害再発防止策の実効性を担保するもので、令和4年度の県当初予算案に関連費用約7千万円を計上する意向だ。

    静岡県庁=静岡市葵区
    静岡県庁=静岡市葵区

    監視体制は具体的には、土石流後の昨年10月に県内自治体と構築した、危険な盛り土について通報を受け付ける「盛り土110番」に集まる地域住民などからの情報を元に、新たに組織する盛り土パトロール班が出動。現場で造成状況を調べ、事業者からの届け出通りに行われているかなどを確認する。法令違反や崩落の懸念が排除できないと判断すれば、土砂量を測量したり不正な混入物がないか土を解析したりといった実地調査を行う。

    パトロール班では定期的な現地調査も行う考えで、災害の未然防止を目指す。

    土石流発生1年となる7月からの施行を目指す、盛り土造成に特化した新条例案は、現在の届け出制から許可制に改めたうえ、事業者に災害防止や環境保全の措置のほか住民説明会開催などを求める内容とする。現行条例では定められていない土砂の環境基準も設定し、事業者は土壌調査や排水の水質調査を定期的に行う義務を負う。違反に対しては知事が許可取り消しや事業停止などを命令することができ、地方自治法で定める上限(懲役2年)を含む厳しい罰則を規定する方針。

    土石流は昨年7月3日に発生。盛り土を含む約5万6千立方メートルの土砂が家屋を押し流しながら約2キロ下の伊豆山港に到達した。26人が死亡し、太田和子さんの行方が分かっていない。起点の土地の盛り土造成は県条例に基づく市への届け出と異なる点があり、県や市は崩落危険性を認識し安全対策工事を求める措置命令などの発令を検討したものの、業者側が対応する姿勢を示したり土地所有者が変わったりするなか、発令されなかった。

    一方、県の4年度当初予算案の原案が固まり、一般会計の総額が、3年度当初予算の1兆3094億円を上回って過去20年間で最大規模となることも24日、分かった。新型コロナウイルス対策に伴う医療提供態勢確保や経済再生のための経費が、3年度当初予算(538億円)の1・7倍となる約900億円にまで膨らむことが主な要因。今後、調整を進め、予算案を県議会定例会に提出する。


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