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【いきもの語り】深海の神秘にわくわく感 サンシャイン水族館 水中ドローンで生態調査

深い深い水深250メートルの海底。砂をかすかに巻き上げながら群れるのは、ジンケンエビの仲間。しばらく進むと無脊椎動物のテヅルモヅルが漂っている。口が長く突き出し逆さに泳ぐのはサギフエ。体を揺らしながら砂の中に潜ろうとするだいだい色のミドリフサアンコウは、鮮やかな目で周囲を伺っている。

水中ドローンを操作する笠原穣さん。画面には水深約250メートルの世界が映し出されている(サンシャイン水族館提供)
水中ドローンを操作する笠原穣さん。画面には水深約250メートルの世界が映し出されている(サンシャイン水族館提供)

そんな深海の様子を地上に届けてくれるのは、サンシャイン水族館(豊島区)の「水中ドローン」。暗くて静かな世界には、まだ知られていないことがたくさん沈んでいる。

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深海は、水深200メートルより深い海域を指す。太陽の光が届かず低い水温、強烈な水圧という厳しい環境下での調査は困難で、解明されていないことが多い。

「水流や水温など環境のデータが少なく、生息環境を想像するしかない」。同館飼育スタッフの笠原穣さんによると、最適な環境の再現は難しく、長期飼育が厳しい生物もいるという。現状を改善するため「実際の環境を調査しよう」と、令和元年12月から水中ドローンによる深海調査を開始した。

同館が使用する水中ドローンは横幅40センチ、奥行き60センチ、重さ30キロ程度の小型無人探査機「FullDepth Dive Unit 300」。船上からコントローラーでカメラを操作し、深海の映像を撮影する。月1回ほど、駿河湾で調査を続けている。

深海では「群れて行動している生物は少ない」と笠原さん。1匹見つけた後はしばらく暗闇が続く。「サギフエは群れで行動するとされているが、まだ1匹で泳いでいる姿しか見ていない」と、深海での行動には研究の余地がある。

珍しくジンケンエビの仲間が群れている場面に遭遇したときは、「繁殖行動かも」と想像した。同館で展示された深海生物の約7割を確認したが、特定できない生物もおり、一つ一つの映像が種や生態などを解明する大切な鍵となる。

これまでは他の海域のデータや経験などから水温13度で飼育していたが、実際には12度だと判明し、飼育環境を向上させることができた。今後はロボットアームを使い、深海で生物を直接、容器に入れることで負荷をかけず採集する方法も検討している。

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水中ドローンの映像には、プラスチックゴミも多く映っている。笠原さんは「捨てたゴミは深海まで沈む。普段は深海を見られないが、深海生物も同じ地球で一緒に暮らしていることを知り、共に生きていきたい」と話す。

水中ドローンの成果は、3月6日まで開催の「ゾクゾク深海生物2022」でも披露される。「見た目の面白さにはそれぞれの生存戦略がある」。過酷な環境を生き抜くために会得した特徴的な体や発光などの生態も詳しく解説している。

深海には2500種類以上の生物が生息しているとされるが、未発見の生物を水中ドローンが映し出す可能性もある。メンダコを見たいと意気込む笠原さんは「未知の生物がいるわくわく感を届けたい」と調査に臨んでいる。地上の人間のロマンを乗せた水中ドローンは、これからも深海の秘密をのぞきに潜る。

(鈴木美帆)


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