九州・山口の大学、授業形態模索続く 学習意欲低下指摘も

    九州大共創学部3年の伊藤亜珠希さん(21)は「オンラインは、研究や実習で大学外にいても講義が受けられ、画面のチャット機能で質問もしやすい。ただ、授業後に先生と直接話せず、交流で得られるものがなくなる」と話す。

    対面とオンラインが併用された九州大学の授業=福岡市
    対面とオンラインが併用された九州大学の授業=福岡市

    同学部3年の齊藤大介さん(21)も「オンラインだと、ついさぼってしまう。選べるときは対面授業を受けるが、教室に来る学生が固定されてきた。意欲のある人とない人の差が出る」と述べた。

    取材した大学での学生のワクチン2回接種率(学内実施)はおおむね60~75%。未接種の学生もおり、対面再開によって感染が拡大するリスクはある。それでも学生の学習意欲の低下を懸念し、対面授業の必要性を訴える声が出ている。

    ある大学教授は「オンライン導入当初は混乱はなかったが、しだいにメール配信や問いかけに応答しない学生が増え、雰囲気が悪くなってきた。早く対面授業に戻さないと、大学の意義が理解されないまま、学生が不信感を募らせる事態になる」と打ち明けた。

    九州大の石橋達朗総長は「オンラインを生かす方法はあるが、教育の根本は対面であり、できるだけ対面でいきたい」と語る。

    支援にも力

    一方、オンラインのメリットとしては、学生が授業を繰り返し視聴できることや、社会人や障害者ら幅広い人への教育を推進しやすいことが挙げられる。各大学は「ポストコロナ社会」でも活用できる授業形態について、ノウハウの蓄積に力を入れている。

    文部科学省が昨年3月に実施した大学生らの生活に関する調査によると、令和2年度後期授業で、オンラインが「ほとんど、または全て」と回答した学生は6割に上った。アルバイト収入の減少や、卒業後の進路に悩みを抱える学生も多く、支援や相談体制の強化が必要な状況が浮き彫りとなっている。

    学生への支援策として、九州・山口でも多くの大学が授業料の納付期限の延長や、経済的に困窮した学生への給付金支給を行っている。九州大ではメンタル面をサポートするアプリの提供、山口大では各学部に学生ケアチームを設置して心のケアなどに取り組む。各大学が必要な措置を講じ、大学運営に努めている。

    (一居真由子)


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