賃上げ3%超にオミクロンの壁 春闘スタート、働き方改革も焦点に

    令和4年春闘が25日に事実上スタートした。岸田文雄首相の期待表明や新型コロナウイルス禍で悪化した経済状況の改善を背景に、主要テーマは昨年の雇用維持から賃金引き上げ(賃上げ)に回帰した。ただ、コロナ禍の打撃は大きい上に、足元では新変異株「オミクロン株」感染の急拡大や資源価格の高騰が家計や企業を脅かしており、昨年1%台に落ち込んだ賃上げ率がどこまで回復するかは見通しにくい。(井田通人)

    「企業の責務として、賃金引き上げと総合的な処遇改善に取り組むことが非常に重要だ」

    25日の「労使フォーラム」であいさつに立った経団連の十倉雅和会長は、オンラインで参加した企業の労務担当者らにそう呼びかけた。

    連合は今回、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の2%程度と、年齢に応じて給与が増える定期昇給(定昇)を合わせて4%程度の賃上げを要求。これに対し、経団連は18日に公表した基本方針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」に、「ベアを含めた新しい資本主義の起動にふさわしい賃上げが望まれる」と明記。数値目標こそ例年通り掲げなかったものの、賃上げの必要性では意見が一致している。

    製造業を中心に業績回復が進んでいることも追い風だ。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは、4年春闘の賃上げ率を1・98%と試算。昨年の1・86%(厚生労働省調べ)から改善し、「ベアを復活させる企業が増える」と予測する。

    ただ、予測通りなら平成26年から6年連続で維持していた2%台には2年連続で届かず、コロナ前への回復は来年以降に持ち越されることとなる。岸田首相が期待する3%以上の賃上げとなると、実現のハードルはかなり高いのが実情だ。

    足元ではオミクロン株感染の拡大で、人繰りがつかなくなった工場や店舗が休業に追い込まれている。一方、原油などの資源価格高騰が経営を圧迫。食品を含む生活必需品にまで値上げの動きが広がっており、春闘交渉にも大きな影響を及ぼしそうだ。

    一方、コロナ禍で苦境に立つ企業の交渉も引き続き焦点となる。「K字型」の景気回復で、業種や企業間の業績格差はさらに拡大。観光や外食といったコロナ禍の打撃が大きい業種は、雇用維持が精いっぱいの状況が続く。「すべての組合が賃上げに取り組む」ことにこだわる連合に対し、経団連は一律での引き上げを否定。格差がさらに広がる可能性も否めない。

    4年春闘ではこのほか、新時代に適した働き方の模索や日本型雇用システムの改革も課題となる。経団連は、働き手の職務をあらかじめ規定する「ジョブ型雇用」について、「導入・活用の検討が必要」と主張。育児と仕事の両立や、コロナ禍で取り組みの遅れが明らかになったデジタル化の推進も訴える。連合も女性活躍を含む「ジェンダー平等・多様性の推進」などを掲げており、賃金以外でも成果が期待される。


    Recommend

    Biz Plus

    Recommend

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

    求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)