鎌倉時代の幕開けを描くNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送開始に合わせ、埼玉県が、幕府を支えた「武蔵武士」のPRに本腰を入れている。関連する出土品を県立博物館で展示したり、ゆかりの地をめぐるツアーを開催したりして、決して知名度が高いとはいえない県ゆかりの武将の紹介を図っている。
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県立嵐山史跡の博物館(嵐山町)は、鎌倉時代初期に北武蔵地域を本拠に活躍した武蔵武士の館跡や周辺遺跡から出土した考古資料の展示を始めた。熊谷市の「下田町遺跡」で見つかった素焼きの器や、行田市にある「築道下遺跡」の骨壺など約40点を紹介している。
合わせて、深谷市域の出身とされ「坂東武者の鑑」と呼ばれる武将・畠山重忠や、源頼朝の信頼が厚かった比企能員(ひき・よしかず)ゆかりの寺なども写真パネルで紹介している。
同博物館は重忠が居住した地とされる「菅谷館跡」にある。担当者は「とても関係が深い地でもあるので、学びにきてほしい」と呼び掛けている。
ゆかりの地をめぐるツアーを企画したのは県物産観光協会だ。菅谷館跡や、頼朝の命で能員が復興した「正法寺」(東松山市)などを回る2月下旬のツアーを組んだところ、すでに予約で定員が埋まった。
4月以降もコースを変えて実施する予定で、担当者は「知られざるスポットを紹介したい」と意気込んでいる。
県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区)は、秩父地方出身とされる大河原氏ゆかりの国宝の短刀などを29日から公開する。
短刀は幕府を支えた「武蔵七党」の一つである「丹党」の一族だった大河原氏が、承久の乱後に播磨に移り住んだ際に秩父神社(秩父市)に奉納したものとみられる。
この短刀をモチーフにしたキャラクターが登場する人気ゲーム「刀剣乱舞」とのコラボレーション企画も実施し、キャラクターの等身大パネルなどを展示する。担当者は「大河とゲームのダブルの集客効果に期待したい」と話した。(中村智隆)