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欧州「エンデミック」へ移行模索 続々と規制緩和

【ロンドン=板東和正】欧州諸国で新型コロナウイルス禍の危機水準をパンデミック(世界的流行)からエンデミック(地域的流行)に引き下げてとらえようとの動きが目立ってきた。新変異株「オミクロン株」の重症化率は低く、ワクチン接種や免疫の獲得が進んだことで、新型コロナをインフルエンザと同様に扱えるとの見方が広がっているのだ。各国は行動規制を緩和し、「ウイルスとの共生」を模索している。

エンデミックは公衆衛生上の用語で、インフルエンザのように流行が特定の地域で一定期間繰り返し発生する状態を示す。感染が世界に拡大して社会の混乱を引き起こすパンデミックよりも危機の水準が下がる。

新型コロナを率先してエンデミックと捉え、行動規制の緩和につなげようとしているのが英国だ。英政府は27日から南部イングランドで公共交通機関や映画館などでのマスク着用義務を撤廃。イベント会場などでのワクチン接種証明の提示を免除し、在宅勤務の奨励も打ち切る方針だ。

ジャビド英保健相は20日、「英国はパンデミックからエンデミックへの移行で欧州をリードし、コロナと共生する方法を世界に示す」と述べた。

同様の動きは他国にも広がり、フランス政府は2月2日に、屋外でのマスク着用や在宅勤務の義務化を解除する。

スペイン東部カタルーニャ自治州でも今月21日から夜間外出規制が解除された。同国のサンチェス首相は新型コロナがエンデミックに変わったかを「評価する必要がある」と述べた。

在宅勤務の義務化見直しなどを検討するスイスも「パンデミックからエンデミックに移行する転換点に来ている」(ベルセ内相)との認識を示している。

各国が危機水準の引き下げに動く背景には、ワクチン追加接種(ブースター)が進んだことや、オミクロン株の重症化率が低い水準にとどまっていることがある。

欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、昨年11月14日から今年1月20日に欧州15カ国でオミクロン株に感染した人のうち、入院したのはわずか1・14%だった。集中治療室を必要としたのは0・16%だったという。英保健安全局は昨年末の報告書で、オミクロン株はデルタ株に比べ、救急治療または入院のリスクが約半分だと指摘した。

世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は今月23日、3月までに欧州の人口の6割がオミクロン株に感染すると試算。「オミクロン流行が沈静化すれば、数週間か数カ月間は広範囲で免疫が獲得された状態になる」と分析し、パンデミックが収束に向かう可能性を強調した。

他方、エンデミックへの認識変更を警戒する声も根強い。アフリカなど30カ国以上でワクチン接種率が10%に満たない中、接種率の低い地域で新たな変異株が発生するリスクが懸念されるためだ。

英国の感染症専門家は、パンデミックが最終局面に入ったとの見方を「危険だ」と警告している。WHOのテドロス事務局長も24日、「新型コロナの共生はウイルスを野放しにすることではない」と感染拡大防止策の継続を求めた。


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