日本ハムはプラスチックを削減しようと主力ソーセージ「シャウエッセン」の巾着型包装を2月からやめる。巾着のようにしぼった部分をカットすることで、プラスチックの重量を約28%削減できるという。包装の変更は昭和60年の発売以来、初めて。伊藤ハムやプリマハムなども巾着型をやめる計画で、業界全体でプラスチックごみ削減に取り組む。
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ソーセージの包装は、袋の上部をテープで結んで巾着のように見せる形が広く使われている。日本ハムや伊藤ハムによると、ソーセージの包装に巾着型が採用されたのは「機能面の利点よりは、店頭での見栄えやボリューム感を意識したものだった」という。
伊藤ハムも2月1日から「The GRAND アルトバイエルン」などの包装の巾着型をやめ、約3割のプラスチック重量を削減する。プリマハムなど他メーカーも続く方針。
業界の動きは、業界団体の日本ハム・ソーセージ工業協同組合(東京都)の方針に基づいている。組合では昨秋から、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への対応について加盟社を集めて議論してきたといい、店頭に残る在庫商品を除き、今年4月末までに、約20社が巾着型包装を順次やめる予定。
同組合の宮島成郎(しげお)専務は「店頭で最もなじみ深いパッケージを変えれば、プラスチックの削減効果や消費者へのメッセージ性も高まる」と期待する。同組合によると「包材で15~30%の削減が、輸送面での負荷の1割近い減少効果も見込まれる」とする。
一方、日本ハムは包装を小さくすることで輸送効率も上がり、年間約4千トンの二酸化炭素排出量削減にもつながると見込む。環境に配慮した商品を積極的に選ぶ消費者が増えていることから、アピールしていきたい考えだ。また、「袋がコンパクトになることで、家庭の冷蔵庫に収めやすくなるのでは」(広報担当者)という。
日本ハムは切り替えに先立ち、北海道のスーパー2店舗で令和3年12月に新包装での試験販売を1週間実施した。「シャウエッセン」はウインナーの販売額でシェア首位を誇り、令和3年は年間750億円と過去最高を売り上げた看板商品だけに「37年間続いたデザインを変え、売り上げが落ちるとの心配もあった」と担当者は明かすが、試験販売ではレジ通過客の販売金額が伸びた。同社では「商品の中身は同じで、違和感なく受け入れられた」と手応えを感じている。
2月1日には、巾着上部のカットを、すもうの力士が結うまげを落とす断髪式になぞらえたPR動画を無料動画サイトでも発信する予定。「環境に優しい商品としてプロモーションを仕掛け、過去最高の売り上げをさらに拡大させたい」と意気込んでいる。(田村慶子)