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【スポーツが未来を変える】特別編 びわこ成蹊スポーツ大学 森島寛晃客員教授「目標は達成できる」

びわこ成蹊スポーツ大学を傘下に置く学校法人大阪成蹊学園が昨年6月、Jリーグのセレッソ大阪とスポンサー契約を締結した。「地域貢献」「人材育成」などをキーワードに、ウィンウィンの共同事業を推進するのが狙い。これに伴い、セレッソ大阪の森島寛晃社長は客員教授として、同大学で特別講義などを行ってきた。同大学の教員らによるリレーコラム「スポーツが未来を変える」の特別編として、かつてサッカー日本代表としても活躍した森島教授に、大学生に望むことを聞いた。

びわこ成蹊スポーツ大学の特別講義で自身の経験などを話すセレッソ大阪の森島寛晃社長(同大学提供)
びわこ成蹊スポーツ大学の特別講義で自身の経験などを話すセレッソ大阪の森島寛晃社長(同大学提供)

--昨年7月に特別講義を行った。どんな話を

森島「ミッション、ビジョンから考えるクラブ経営をテーマに話した。まずは、セレッソというJリーグのクラブが、どういう活動をしているのかをみんなに知ってもらった。われわれは、サポーターをはじめとしたさまざまな人たちに、夢や感動、希望を与える仕事をしていることを伝えた」

--具体的には

森島「セレッソが目指すことを話した。一つ目は、大阪のシンボルとしてアジア、世界で咲き誇るクラブになること。次に、大事にしていることとして、ワクワクするようなエンターテインメントを提供すること。もう一つは、クラブの特徴でもある育成型。この3つを目指し、セレッソに関わる全員が常に頭に置きながら業務に携わっている。例えば、チームづくり。いろんなスタイルがあるが、セレッソは実績がある選手をたくさん集めるよりも、アカデミーから育てたり、他クラブから移籍してきた選手が活躍して日本代表、そして世界につなげていったりすることを考えている」

--単なるサッカークラブという発想ではない

森島「ただ単にサッカーチームを運営しているだけではなく、方向性を持っている。昨年は新型コロナウイルス禍の中、大変厳しいシーズンだったが、工夫しながらサポーターに一緒に戦ってもらえるように取り組んだ。一つ挙げるとすれば『なんかせなあかんプロジェクト』を実施した。全員で案を出し合いながら、協力して試合を開催した。本拠地のスタジアムも生まれ変わったので、できることが増えている。サポーターも期待していると思う」

--大学生の反応は

森島「様子がどうか、最初は不安だったが、みんな真剣に話を聞いてくれた。意識が高い学生が多かった。さまざまなスポーツに取り組んでいる学生が大勢いるせいか、サッカーの経験談を踏まえながら話をしたのだが、自分の関わっているスポーツに置き換えながら聞いてくれたと思う。将来、スポーツ業界で働きたいと思ってもらえたら、うれしい。実際に『どうしたら、スポーツクラブに入れますか』という質問もあった。クラブ経営に興味を持っている学生も多いだろう。スポーツ界にはさまざまな業種があり、セレッソにもいろんなチャレンジができる環境がある」

--びわこ成蹊スポーツ大学からセレッソ大阪に入る学生もいると聞いた

森島「サッカー部のマネジャーをしていた学生。縁があって、今年からセレッソのマネジャーとしてのキャリアをスタートさせる」

--全員がずっと選手を続けられるわけではない

森島「スポーツ界だけではなく、社会人になっても同じように、日の当たる人もいれば、支えていく人もいる。選手をしていたときは、周りの人たちがどういう形で支えてくれているのかは、なかなか見えていなかった。しかし、周りのいろんな環境づくりがあって、選手はプレーできている。そういった部分も含めると、サッカー、スポーツへの関わり方には、いろんな形があると思う」

--それでは、プロスポーツクラブで働くには、何が大切だと考えるか

森島「インターンなどを実施しており、受け入れる環境はある。学生から『どういう気持ちで…』という質問もあった。強い意欲、働きたい熱意を持つ人材はクラブとしてもほしい。志を持つのは、大事なところ」

--学生にメッセージを

森島「これから未来に向かってスタートを切ると思う。スポーツの世界は発信力があり、夢、希望、感動を与えられる。そういうところにも興味を持ってほしい。目指すものが大きな活力となり、人生に必要なものになっていく。さまざまな選択肢がある中で、やってみたいもの、目指すものを見つけてほしい」

--自身の選手時代にもそういう思いがあった

森島「小さいころから、大きな夢として日本代表になりたかった。大きな全体像を実現するため、日々の目標を立てて練習した。その積み重ねが、最後に目指すところにつながってくる。強い思いで続けることが大事。目標は達成できるものだと思う」

--スポーツの力についての考えを

森島「昨年はいろんな声がある中で、東京五輪・パラリンピックが開かれた。さまざまな種目の選手たちが頑張っている姿を見ることで、大きなパワーをもらえた。勝っても負けても、引き付けられるものがある。発信力も感じた。スポーツには、いろんなメッセージ性があると思う。だから社会を明るくできたり、未来への展望が開けたりする力もある。コロナ禍の中でも、選手たちがスポーツを続けているからこそ、みんなを勇気づけたり、今後に向けて頑張ろうとなったりする」

--全日本U-18(18歳以下)女子サッカー選手権でセレッソ大阪堺ガールズが優勝した。皇后杯全日本選手権では、お姉さん格のレディースが4強入り。粘り強い戦いが共感を呼んだ

森島「格上だったり、年齢的に上だったりするチームと戦うことが多かったが、勝つために全員が必死にボールを追いかけ、球際では体を張り、最後まであきらめない姿勢を出していた。同じクラブにいながら、力をもらえた。男子も刺激を受けないといけない」

--クラブがアジア、世界を目指す上で、大学と連携する意義は

森島「提携したことで、お互いにいろんな取り組みができると思う。学生にセレッソへの親近感も持ってもらえる。みんながセレッソのファンになってくれると、大きなパワーとなる。互いに成長していけると思う」

--学生に本拠地のヨドコウ桜スタジアムを見学してもらった

森島「野球をしている学生でも、サッカーの現場にくると、違った感じ方もできると思う。自分自身が(セレッソ前身の)ヤンマーに入団し、大勢の観客の前でプレーしたいと思ったのは、甲子園球場で試合を見たときのことだった。阪神-巨人戦で満員。こういうところでプレーしたいと思った。コンコースから観客席に出たときの雰囲気は、いまだに忘れられない。われわれも常にスタジアムを満員にし、その中で選手が輝けるようにしていきたい」

--スポーツの未来は

森島「明るくしていきたい。いろんな可能性は秘めていると思う。セレッソがスポーツの未来を明るくできたらいい」

--新型コロナの感染が広がっているときには「スポーツは不要不急」とも言われた

森島「スポーツは必要だと思う。もちろん、スポーツはプロの興行だけではない。スポーツをする、体を動かすと、パワーがもらえたり、気力がわいたりする。健康にもつながる。全体で見ると、なくてはならないもの。五輪・パラリンピックもそうだが、感動をもらえ、元気になれる。スポーツがなくなれば、子供たちに大きな夢を与える場所がなくなる。そういった意味で、スポーツはなくてはならないものだと思う」

--そうした中で、セレッソ大阪の役割は

森島「改修されたヨドコウ桜スタジアムは、普段から地域のみなさんに訪れてもらえることを目指している。コワーキングスペースで日常的に仕事をしたり、子供たちがやってきて勉強したり、グラウンドでキャンプしたり…。さまざまなことで興味を持ってもらえる。選手たちがサッカーで感動を与え、自分たちのセレッソだと思ってもらえるようになり、一緒に勝利を喜び、負けを悔しがる。日常の中にセレッソが入っていければと思う。すると世代を超え、みんなの中になくてはならないようなものになる。訪日外国人にも試合を見にいこうと思ってもらえるようになり、ヨドコウ桜スタジアム自体がシンボルのようになればいい」

(聞き手 北川信行)

森島寛晃(もりしま・ひろあき)1972年4月30日生まれ、広島市出身。静岡・東海大第一高(現東海大付静岡翔洋高)からセレッソ大阪の前身のヤンマーに入団。FW、MFとして活躍して日本代表に選出され、ワールドカップ(W杯)2大会に出場した。2008年に現役引退後はアンバサダーや育成組織の指導者を務め、18年12月に社長に就任。びわこ成蹊スポーツ大学客員教授。

スポーツによって未来がどう変わるのかをテーマに、びわこ成蹊スポーツ大学の教員らがリレー形式でコラムを執筆します。


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