• 日経平均26748.14-253.38
  • ドル円127.38127.41

歴史的円高でも追加緩和で慎重姿勢 政府と軋轢 日銀が平成23年7~12月の議事録公開

日本銀行は31日、平成23年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。東日本大震災後の外国為替市場で円相場が歴史的水準に高騰したこの時期、通貨当局と投機筋の駆け引きが熾烈(しれつ)を極めた。日銀は8月、当時の民主党政権が実施した為替介入との〝合わせ技〟で金融緩和に踏み切る。ただ、政府の「金融政策万能論」(白川方明総裁)を警戒するあまり追加の緩和策には慎重な態度を続け、円相場は10月31日、現在も破られていない最高値の1ドル=75円32銭を記録した。

東京都中央区の日本銀行本店(川口良介撮影)
東京都中央区の日本銀行本店(川口良介撮影)

政府・日銀の共闘

「まさに、今がそのタイミングであると思う」

8月4日の決定会合で、白川総裁が金融緩和の実施を訴えた言葉から、当時の緊張感が伝わってくる。

この日、日銀は国債などの資産買い入れや金融機関に低金利で資金を供給するための基金を10兆円増の50兆円まで積み増す金融緩和を、全会一致で決定した。

朝方には政府が4・5兆円の円売り・ドル買い介入を実施。これを受け日銀は当初2日間の予定だった会合を急遽(きゅうきょ)1日に縮め、足並みをそろえて過度な為替変動と戦う姿勢を演出した。

東日本大震災の衝撃が徐々に薄らいできた23年夏、外国為替市場では円相場が急騰した。生命保険各社が震災後の保険金支払いで海外資産を売却しドル売り・円買いに走るとの投機筋の思惑に加え、欧州債務危機のあおりで「安全資産」の円が買われたこともあり、一時76円台まで上昇した。

円高傾向止まらず

急激な円高は震災復興で持ち直しかけた輸出企業の業績を直撃。会合では「歴史的な円高水準」(森本宜久審議委員)、「日本経済はまさに重大な局面」(亀崎英敏審議委員)と出席者が口々に危機感を表明し、異様な雰囲気に包まれた。

政府・日銀の共闘で円相場は8月に一時80円台まで急落したが、その後も円高傾向は変わらなかった。このため民主党政権は日銀に追加緩和を公然と要求。主要閣僚が「必要に応じ適切かつ果断な行動を」(古川元久経済財政担当相)などと繰り返し圧力をかけた。

だが、日銀は9月6、7日と10月6、7日の2会合で立て続けに追加緩和を見送った。8月に実施した基金増額の効果を見極めたいというのが表向きの理由だが、会合では金融緩和で何でも解決できるとの「幻想は与えないようにしたほうが良い」(9月7日、白川総裁)と本音ものぞいた。

総力戦で押し返す

「円高や(産業)空洞化に苦しむ叫びを直接聞いて強い危機感を持っている」

煮え切らない日銀に不満を募らせた民主党政権は10月7日、藤田幸久財務副大臣が会合での政府の意見表明で苦言を呈した。議決権を持たないオブザーバー参加の政府代表としては、異例ともいえる強い表現だ。

歯止めがかからない円高と政府の圧力に外堀を埋められた日銀は、10月27日、ついに基金を5兆円積み増す追加緩和を決定。政府も31日、1日当たりでは過去最大となる8兆円の円売り介入に踏み切り、11月1~4日も実施を明らかにしない「覆面介入」で市場を牽制(けんせい)した。政府・日銀の総力戦で円相場は10月31日の最高値を経て下落に転じ、投機筋の攻勢は収まった。

>有事で二の足 再び問われる日銀の対応力 平成23年7~12月の議事録公開



Recommend

Biz Plus

Recommend

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)

求人情報サイト Biz x Job(ビズジョブ)