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ミャンマー、クーデター1年 市民「絶望しかない」

【シンガポール=森浩】ミャンマーで国軍が昨年、クーデターで全権を掌握してから1日で1年。国軍は弾圧で事態の沈静化を図っているが、市民や少数民族武装勢力との間で戦闘が激化。経済も低迷し、国内では160万人が職を失った。国内各地で治安悪化と貧困が鮮明となりつつあるが、それでも市民は抵抗を続けようとしている。

ミャンマー東部カヤ州での戦闘を避け、森に逃げ込んだ住民=1月19日(住民提供、共同)
ミャンマー東部カヤ州での戦闘を避け、森に逃げ込んだ住民=1月19日(住民提供、共同)

「軍隊とは国民を守る存在ではないのか」

東部カヤー州の住民男性は産経新聞の取材に怒り交じりに話した。同州では昨年末から国軍と少数民族武装勢力の戦闘が続き、国軍はヘリコプターからの空爆で鎮圧を図っている。同州では15万人以上が自宅を離れて安全な地点に避難したという。

男性が住む地域の多くの住民は戦闘に参加していないが、上空からの攻撃は続いた。「攻撃は落ち着きつつあるが、今も家で息をひそめるしかない」と男性は話した。国軍は食料輸送を妨害しており、現地は食糧難に陥りつつある。

昨年2月1日に政権を奪取した国軍は反発を武力で押さえ込み、クーデター以降の弾圧による死者は少なく見積もっても1499人(地元人権団体まとめ)に及ぶ。徹底的な摘発で、街を埋めた大規模デモは姿を消した。

国軍に対抗するため、民主派がつくる挙国一致政府(NUG)は自衛組織「国民防衛隊」を発足させ、9月に「武装抵抗開始」を宣言した。共鳴する市民が各地で蜂起し、国軍との間で戦闘に発展。長らく国軍と対立していた少数民族武装勢力が民主派に加勢し、カヤー州など特に地方で混乱が深刻化している。

こうした中、急速に進むのが国民の貧困だ。国際労働機関(ILO)は今月、21年に国内で約160万人が失業したとする報告書を発表した。国内の混乱が海外投資減少につながったことに加え、新型コロナウイルス流行が経済の重荷となったとみられている。

ILOによると、大きな影響を受けたのが主要産業の1つの縫製業だ。最大都市ヤンゴンの縫製工場を解雇された女性、ナインさん(29)はクーデター前の月収が約35万チャット(約2万3千円)だったがほぼゼロになり、日雇いの仕事で糊口をしのいでいる。「絶望しかない。国軍でもNUGでもどちらでもいいから、職を作ってほしい」と心中を吐露した。

国内では表立って国軍を批判する声は減少した。だが、市民の怒りが消えたわけではない。1日には全国で出勤を見送ったり店舗を休業したりして抗議の意を示す「沈黙ストライキ」が行われる。参加する予定だというヤンゴンの会社員男性(40)は「1年たっても、到底国軍を支持する気になれない。決定打にならないだろうが、小さい抵抗を積み重ねていくしかない」と決意を話した。


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