人の手柄をしれっと横取りする人の心理的プロセス 「ゆがみ」の落とし穴にはまるとき

伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

第37回のテーマは「人の手柄を横取りする心理」です。頑張って出した成果を、あたかも自分の成果のように報告するというケースは、残念ですが、よく聞く話です。自分が被害に遭って、憤りを感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

基本的に、手柄を横取りする人たちは、自分が卑怯なことをしているとは思っていません。心理学的に考えるならば、むしろ誰でもやってしまいがちな行動とも言えます。つまり、あなた自身も無意識のうちに人の手柄を横取りしている可能性があるわけです。なぜ、そうなってしまうのか。思考のプロセスと対処法をご紹介します。

このエピソード、あなたはどう感じますか?

あなたの会社は、高額な費用がかかる展示会に出展することになりました。この展示会にはAとB、2つの製品が出展されます。あなたは製品Bのチームリーダーに選ばれました。展示会は2日開催されるので、1日目は製品Aのチームリーダーが責任者として現場を仕切ることになり、2日目はあなたが責任者を務めることになりました。

展示会のイメージ(画像はイメージです/Getty Images)

▼展示会1日目

初日は沢山のお客様が来たものの、パンフレットがなくなってしまったり、対応しきれないため途中で帰ってしまう人がいたりで、バタバタしていました。あなたは「Aリーダーの仕切りが悪いからだ」と思いました。休憩時間に様子を見ていると、やはり待ちきれないお客様が帰っていました。

▼展示会2日目

2日目は、いよいよあなたが責任者の日です。前の日の状況を参考にパンフレットの在庫も予備を多めに用意しました。この日も忙しかったのですが、お客様を待たせないように工夫したため、効率よく接客できたようです。来場した人の表情も明るいと感じました。休憩時間に様子を見ていると、ちょうど商談がうまく行ったところでした。あなたは「責任者が優秀だとうまく行くんだな」と思いました。

目標にしていたパンフレット配布数はクリアできませんでしたが、初日の不手際もあることですし、コロナ禍ですからどうしようもないことだと思い、帰路につきました。

▼翌日

展示会が終わり、翌日、あなたは上司に展示会の様子を報告するように言われました。「Aさんの仕切りの悪さを告げ口するのはやめよう」と考えたあなたは、「やはりコロナの影響がありますから。初日は慣れないこともあってスムーズではなかったです」と批判にならないよう報告し、「自分は初日の様子を見ていたおかげで巻き返しができた」と謙虚に伝えました。あくまでAリーダーのおかげで、自分は活躍できたと伝えたつもりでした。

▼翌々日

その翌日、資料請求や商談などのアクションがあった見込み顧客フォローのための会議をしました。「展示会の1日目に獲得できたのは30社で、2日目に獲得できたのは60社でした」発表があったとき、あなたは「やっぱりAリーダーが力不足で、自分が優秀なのだ」と思いました。

ところがその後、思いがけない発言にあなたは驚かされます。

「あ、すみません、間違いました。1日目に獲得できたのが60社で、2日目に獲得できたのは30社でした」

発表内容が訂正され、実際はAさんがリーダーを務めた1日目のほうが、あなたがリーダーを務めた2日目よりも成果が大きかったのです。

さて、皆さんはどう感じたでしょうか。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。

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