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ロシア、ウクライナ停戦合意履行へ圧力 親露派通じ干渉狙う

【モスクワ=小野田雄一】ロシアによる侵攻が懸念されるウクライナ情勢をめぐり、同国東部で続く紛争の停戦合意がにわかに焦点に上ってきた。ロシア側は最近、緊張緩和にはウクライナ政府による停戦合意の履行が不可欠との認識を相次いで表明。同国国境付近でロシアが軍備を増強した狙いの一つは、緊張を高めて、露側に有利とされる合意を履行せざるを得ない状況にウクライナを追い込むことだとみられる。

1月27日、ウクライナ東部ルガンスク州の最前線を守るウクライナ軍人(AP)
1月27日、ウクライナ東部ルガンスク州の最前線を守るウクライナ軍人(AP)

プーチン露大統領は1月28日、電話会談したフランスのマクロン大統領に、ウクライナ政府が停戦合意を「無条件で履行」することが重要と伝達。ラブロフ露外相も26日、「欧米が合意履行を保証すれば全ての問題は解決する」と述べ、1日のブリンケン米国務長官との電話会談でも合意履行を「米国からウクライナに強制すべきだ」と伝えた。

2015年に成立した停戦合意は、親露派武装勢力が実効支配するウクライナ東部への高度な自治権付与などを規定する。履行されれば、ロシアは親露派を通じてウクライナ内政への干渉が可能になり、同国が望む北大西洋条約機構(NATO)加盟の阻止にもつながる。このためロシアはかねて合意当事国のフランスとドイツに加え、米国にも合意をウクライナに履行させるよう求めてきた。

ウクライナ情勢の緊迫化を受け、露仏独とウクライナは1月26日、合意をめぐる高官級協議を約1年ぶりにパリで開催。8時間超に及んだ協議の末、4カ国は近くベルリンで再び協議することで一致した。ロシアは仏独にウクライナ侵攻を危惧させ、合意の履行をウクライナに働きかけさせる思惑とみられている。

さらにネベンジャ露国連大使は31日、合意締結7年を記念する国連安全保障理事会を2月17日に開く予定だと表明。国際社会も巻き込む意図を鮮明にした。

一方、ウクライナはこうした動きに警戒を強めている。ゼレンスキー政権は前政権下で締結された合意の履行にはもともと慎重で、同国国家安全保障防衛会議のダニロフ書記は1月末、AP通信に対し、停戦合意はロシアの軍事的威圧の下で結ばれたと指摘。「合意履行は国家の破壊につながる。欧米諸国はウクライナに履行を迫るべきではない」と述べた。

今回のロシアによるウクライナ国境での軍備増強は、昨年10月下旬にウクライナ軍が初めてトルコ製の高性能攻撃ドローン(無人機)を使って親露派支配地域を攻撃した数日後から指摘され始めた。このことは東部紛争の情勢がロシアの行動に影響を与えていることも示唆する。

ロシアは19年から親露派支配地域の住民に露国籍を付与する政策を進め、昨年12月時点で約72万人が取得した。ロシアがNATO側にウクライナの加盟拒否や同国との軍事協力停止を求める背景の一つには、NATOを後ろ盾にウクライナが親露派地域への攻勢を強め、「自国民を見捨てた」との批判が強まることへの警戒があるとみられる。同時にその場合は、さらなるウクライナ介入の口実とする可能性もある。


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