松野博一官房長官は3日の記者会見で、日本の首相経験者5人が欧州連合(EU)の欧州委員会に対し、「東京電力福島第1原発事故の影響で多くの子供が甲状腺がんに苦しんでいる」などとする誤った見解を書簡で送付したとして、山口壮環境相が駐日EU大使に是正する説明を行ったと明らかにした。
:quality(40)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/VETJUQSUPVJ5PGH2DFPUSAM2PA.jpg)
松野氏によると、山口氏が5人に対し、不適切な見解を指摘する書簡をすでに送った。2日にも、山口氏がパトリシア・フロア駐日EU大使に対して直接、誤りの内容や経緯を伝えた。
この問題をめぐっては、EU行政を担う欧州委員会が地球温暖化対策に資する投資先として原発を認定する方針を示したことに対し、小泉純一郎氏、細川護煕氏、菅直人氏、鳩山由紀夫氏、村山富市氏らが撤回を要請した。1月に送付した書簡で「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」などと言及した。
松野氏は、福島県の検査で見つかった甲状腺がんについて、国内外の公的専門家会議が「現時点で放射線の影響とは考えにくい」との見解を示したと指摘した。5人の主張は「誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見を助長することが懸念される」と批判した。