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重工3社、脱炭素技術で飛躍なるか 巨大な世界市場 石炭火力の縮小見据え

世界で脱炭素化の流れが加速する中、温室効果ガスを排出しない技術を数多く保有する三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工業3社に成長機会がめぐってきている。各社ともこれまで培ってきた技術を核に、脱炭素時代の一翼を担うべく事業の拡大を狙う。石炭火力発電事業の縮小が避けられない中で、脱炭素事業の拡大はそれぞれの成長を左右する。

三菱重工業の高砂工場(兵庫県高砂市)で製造する最新鋭の大型ガスタービン(同社提供)
三菱重工業の高砂工場(兵庫県高砂市)で製造する最新鋭の大型ガスタービン(同社提供)

「基本的に逆風だ」。三菱重工の加口仁常務執行役員兼CSO(最高戦略責任者)兼エナジードメイン長は脱炭素の潮流についてこう話す。

昨年開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、40カ国以上が石炭火力の廃止に賛同した。三菱重工にとって、今後の石炭火力の新規受注や保守サービスの減収は避けられず、石炭火力の減収をどう補うかが大きな経営課題となっている。

同社のエナジードメインは火力や原子力の発電設備や航空機エンジンで構成。令和2年度の売上高は1兆5460億円で、グループ全体の約4割を占める稼ぎ頭だ。そのうち、火力発電設備を手掛け、昨年本体に吸収された三菱パワーの2年度の売上高は約7500億円と半分ほどを占める。

三菱重工は石炭火力の減収を補うため、水素ガスタービンや、二酸化炭素(CO2)を分離・回収し地下に貯留したり再利用したりするCCUSなどの脱炭素事業を拡大する戦略だ。12年度までに売上高3000億円を目指す。

それでも、脱炭素事業が石炭火力の減収分を逆転する時期について、エナジードメインのある幹部は「12年度の段階では届かない」と厳しい見方を示す。

IHIも石炭火力関連での減収を覚悟する。ガスタービンやボイラー、液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地・貯蔵タンク、原子力機器などで構成する資源・エネルギー・環境事業の2年度の売上高は3176億円で全体の約3割を占める。

同事業を統括する武田孝治執行役員は「12年度の段階で売上高2000億円は維持したい」と話す。燃焼時にCO2を排出しないアンモニアの発電設備や運搬船、受け入れ基地、貯蔵タンクの技術開発を進めており、脱炭素事業の柱として減収分をカバーしたい考えだ。

一方、川重のエネルギー事業は工場やゴミ焼却設備向けの中小型ガスタービンが中心だ。橋本康彦社長は「火力発電関連をほとんど手掛けておらず、業績への影響は限定的」と説明する。エネルギー・環境プラント部門の2年度の売上高は2401億円で、全体の約16%にとどまる。

こうした中で川重はCO2を排出しない水素事業に照準を定める。水素の液化機や運搬船、貯蔵タンク、ガスタービンを開発し、水素サプライチェーン(供給網)の構築に取り組む。水素をエンジン燃料とした航空機の開発にも着手。川重は12年度に水素事業の売上高を3000億円、22年度に5000億円、32年度に2兆円に引き上げる計画だ。

世界の主要国がカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に動き出す中、国際エネルギー機関(IEA)は脱炭素に向けて年間4兆ドル(約450兆円)の投資が必要との見解を示す。その市場規模は巨大だ。重工3社が手掛ける事業の成否は、脱炭素時代の日本の国際競争力にも大きな意味を持つ。(黄金崎元)


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