マツダ「ロードスター」の歴史は、軽さとの戦いだと言っていい。初代ロードスターのデビューは鮮烈だった。軽量コンパクトなオープンカーは、いにしえの英国スポーツカーをイメージさせる2シーターボディをまとっていた。決して強力とは言えない1.6リッターエンジンを搭載。ハイパワースポーツが栄華を誇るその時代に、マツダは軽量化を武器に、軽快なフットワークを盛り込んだ。絶対的な速さを誇示するスーパースポーツカーには背を向け、身の丈にあったスポーツドライビングのあり方を提案したのだ。
それは、純粋に爽快なドライビングを欲していたユーザーのハートを刺激した。限られたパワーを徹底的に叩きつけてマシンを操る喜び、あるいは肩の力を抜いて緩やかに走ることの快感を教えてくれた。そこには常に「軽量化」の文字が添えられていたのである。
その思想は時代が進んでも乱れることはなく、常に軽さが伴っている。あるときにはバックミラーの重さにさえこだわり、1円玉87個、87グラムにまで削り取った。シートスライドのレバーさえも細くして、グラム単位の軽量化を進めた。そうして人気モデルの座を守ってきたのである。
そして2022年の今、4代目のND型史上最軽量車のスペシャルバージョンが誕生。軽さを武器にしながらさらなる改良を加え、走り派のハートを捉えて離さない、ロードスターの中でも、「究極のロードスター」と呼べるのかもしれない。