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韓国大統領選投票まで1カ月 争点は中国 高まる反中感情が背景

【ソウル=桜井紀雄】来月9日投開票の韓国大統領選まで1カ月に迫る中、中国問題が大きな争点に浮上している。野党候補らは中国に傾いた文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交政策を批判して対中強硬姿勢を打ち出し、若者層の支持を獲得し始めている。成果の乏しい文政権の親中外交への世論のいらだちとともに、国内で高まる反中感情が背景にあるようだ。

「貿易の25%を中国に依存している。なぜ追加配備で中国の反発を招いて経済をつぶそうとするのか」

革新系与党「共に民主党」の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道(キョンギド)知事は3日のテレビ討論で、保守系最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユン・ソンヨル)前検事総長が訴える高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)の追加配備をこう批判した。尹氏は、北朝鮮の弾道ミサイルからソウル首都圏を守るには追加配備が必要だと主張している。

韓国への米軍のTHAAD配備が2016年に決まると、中国は自国もレーダーで監視されると反発し、中国内での韓国のドラマ放映や芸能人の活動などを制限する事実上の報復が行われた。文政権は17年にTHAADの追加配備や日米韓の軍事同盟化をしないといった「3つのノー」を中国に伝え、中国をなだめようとした経緯がある。

こうした文政権の「親中・親北屈従外交」で崩れた日米韓の安全保障協力を正常に戻す-というのが尹氏の安保公約の柱だ。

中道系野党「国民の党」代表の安哲秀(アン・チョルス)候補も、中国の態度をTHAADに対する「不当な干渉」だと指摘し、「3つのノー」について「韓国の尊厳と自主性を害する政策」として、即時撤回を公約に掲げている。

「互いに嫌う」

尹、安両氏の公約は、大統領選を左右するといわれる20~30代の若者層の対中観と無縁ではない-と政界では指摘されている。

文政権の親中外交にもかかわらず、中国での〝韓流締め出し〟はその後も続いた上、チマ・チョゴリやキムチなどの韓国文化を「中国文化の傍流」とみる主張が中国のネットで拡散したこともあり、韓国での反中感情は急激に悪化。最近の世論調査では「信頼できる国」に中国を挙げた答えは20カ国・地域中、日本を下回って最下位を記録した。

尹氏は昨年12月、「現政権は中国に偏った政策をとってきたが、韓国の若者の大半は中国を嫌っている。中国の若者の大半も韓国を嫌っている」と発言した。

北京冬季五輪でも、中国の少数民族としてチマ・チョゴリ姿の女性が登場した開会式や、韓国選手が失格となり、中国選手が金メダルを得たショートトラックの判定をめぐって韓国で中国非難が噴出した。与党の李氏も「われわれの自尊心を深く傷つけた」などと即座に批判。与党側も反中世論の盛り上がりを無視できない状況となっている。

「ポピュリズム」

尹氏は、韓国在住期間が短い外国人が不当に健康保険の恩恵を受けている可能性を提起し、問題解決も訴えている。会員制交流サイト(SNS)に「外国人で健保受給者上位10人のうち8人が中国人だ」と書き込み、中国人へ矛先を向けた。これに対し、李氏は「外国人憎悪を助長して票を得る極右ポピュリズム(大衆迎合主義)」だと批判した。

ただ、現実には、韓国の国民健康保険に加入する外国人が20年に支払った保険料総額は、外国人への支給総額を上回っており、外国人加入者の貢献がなければ、健保の赤字が一層膨らんでいたことになる。ネットでは中国非難と合わせて尹氏支持を表明する書き込みも目立つが、尹陣営では反中感情に便乗することを戒める声も出ている。


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