女性初のロンドン警察トップ辞任へ 組織内差別の責任

    ロンドン警視庁の警視総監の辞任が決まったディック氏(左)とロンドンのカーン市長=2021年11月29日(英PA通信=共同)
    ロンドン警視庁の警視総監の辞任が決まったディック氏(左)とロンドンのカーン市長=2021年11月29日(英PA通信=共同)

    ロンドンのカーン市長は10日、ロンドン警視庁トップのディック警視総監が辞任すると発表した。約190年にわたる同庁の歴史で女性で初めて2017年に就任したが、組織内で差別やいじめが横行していたことが判明。カーン氏は責任者としての対応に不満を示した。事実上の解任とみられる。

    英国では、新型コロナウイルス対策の規制中に首相官邸でパーティーが繰り返された疑惑が21年末以降に次々と判明。ディック氏は今年1月下旬、規則違反の有無を捜査していると表明したが、一部からは対応が後手に回ったとの批判が出ていた。トップ交代により、捜査の進捗に影響が及ぶ可能性もありそうだ。

    警視庁を巡っては、独立監督機関が今月1日、組織内で人種や女性差別、ハラスメント、いじめが横行していたと報告した。カーン氏は10日の声明で、信頼回復への改革を求めたが対応に「満足していない」とし、トップの交代が必要だと強調。ディック氏は市長からの信頼を失い「身を引くしかない」と判断した。

    カーン氏は英政権のパテル内相と連携しながら後任の選定を急ぐ。ディック氏は混乱なく後任に引き継ぐため、当面は業務を続ける見通し。(共同)


    Recommend

    Biz Plus