SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第123回はアジア系航空会社で乗務する吉村美波がお送りいたします。
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乗務歴のべ8年の日本人CA、吉村美波さん。休業を機にミスコンにも挑戦。提供:本人
皆さま、こんにちは。2022年が始まり、早くも一カ月が過ぎましたが、皆さまはどのようなお正月をお過ごしになられましたか? 今年は数年ぶりにようやく家族で過ごされた方も多いのではないでしょうか。
さて、ご存知の方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、毎年1月下旬~2月上旬は中国・中華圏における旧正月です。現地では「春節」といいます。
数年前までは、この旧正月時期に、中華圏の観光客の方々が日本に旅行に来て「爆買い」する様子が風物詩としてテレビで紹介されていましたので、その映像がご記憶に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が勤めるアジア系航空会社は、多くの中華圏のお客様にご利用いただいています。旧正月時期の機内はどんな様子なのか? また、CAたちはどのようにお客様をお迎えしているのか? 少しだけご紹介させていただきたいと思います。
街も民家も赤に染まる旧正月
中華圏では、旧正月は年間を通して最も重要な行事の一つとされ、この時期になると町中が赤一色に染まります。赤色は縁起のいい色とされ、春節のテーマカラーでもあるのです。
建物や飲食店、ショッピングモール、民家や街灯、色々な所に旧正月の赤い飾り付けが施され、旧正月の訪れを教えてくれます。お年玉を入れるポチ袋も、ぜんぶ赤色です。
売上5倍! 旧正月の機内販売は新人乗務員の登竜門
弊社の機内やサービスも、春節仕様になります。特別な装飾やポスター、機内食、限定の機内販売商品まで登場し、BGMまで華やかな雰囲気のものに入れ替わります。
この時期、現地のお客様は、ご家族全員でのお出かけが多く、いつも以上に気持ちが盛り上がっていらっしゃるので、機内販売は平常時の5倍ほどの売上になります。往復分の機内販売商品が片道で売り切れてしまうことも多々あります。
弊社の場合、機内販売は新人乗務員の担当です。
フライトの所要時間などに関わらず、弊社ではどんな状況でも基本的に機内販売は行います。それゆえに、たとえ飛行時間50分間のフライトでも機内販売が実施され、商品を買いたいお客様が殺到することもあるのです。
飛行時間50分間という限られた時間に機内食の提供などもありますから、どのくらいハードなのかはご想像にお任せ致します。
着陸間際まで販売していたなんてこともあります。もちろん安全規定内の時間に終わらせます。
ほかの乗務員も当然手助けに入りますが、担当である新人CAたちはこの時期、特に、猫の手も借りたいほど大変な思いをして販売に当たっています。
大抵の新人乗務員は半泣きで対応に当たりますが、中には積極的に営業し、一便で、日本円にして約30万円を売り上げたツワモノ新人乗務員と乗務を共にしたこともあります。
弊社乗務員は誰でも一度はこのように(もちろん私もそうでした)、大変な機内販売担当を経て一人前の乗務員へと成長していきます。
人から「勧められたもの」に価値がある
皆様はお買い物をするとき、自分が良いと思って納得したものを買いますか? それとも家族や友達が「良い」と言ったものを買いますか?