グリコ、江崎勝久氏 創業精神守り、拡大に邁進

    江崎グリコの社長を約40年務め、今年3月の退任が決まった社長の江崎勝久氏(80)。今月創業100周年を迎えた同社を長きにわたって牽引し、同社のブランド価値の深化、事業拡大に心血を注いできた。

    江崎グリコの江崎勝久社長=平成30年4月、大阪市北区の江崎グリコ梅田オフィス(渡辺恭晃撮影)
    江崎グリコの江崎勝久社長=平成30年4月、大阪市北区の江崎グリコ梅田オフィス(渡辺恭晃撮影)

    創業家の家に生まれ、松下電器産業(現パナソニック)勤務の後、昭和41年に江崎グリコに入社。副社長などを経て、創業者で祖父の利一氏の片腕であった故・大久保武夫氏から3代目社長を引き継いだ。57年6月、ちょうど40歳のときだ。

    社長就任翌年の58年には「セブンティーンアイス」、61年には「アイスの実」と、今でも続く冷菓のロングセラー商品を発売。海外販路の開拓にも取り組み、平成2年には新会社を設立して念願だった米国進出の足がかりを作ったほか、東南アジアで菓子や冷菓の製販体制も築いた。

    一方、勝久氏は劇場犯罪として社会を揺るがしたグリコ・森永脅迫事件では誘拐される被害に遭った。犯人グループからは青酸入りの製品を店にばらまくとの脅迫を受けた。同社はフィルムで製品の箱を密封する「シュリンク包装」などで対応。菓子メーカーが包装を見直すきっかけとなった。

    「先輩から受け継いできたグリコ精神を次代に正しく伝え、江崎グリコを永遠に存続発展させることがわれわれの大切な使命」―。平成4年2月に開かれた創立70周年の記念式典で、勝久氏はこうあいさつしている。歩んできた道のりは平坦ではなかったが、創業者の築いたブランドを守り、広げることに邁進(まいしん)した40年だった。


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