新卒面接でアバター活用 学歴や性別などの個人情報は不要「面白いネタは大事」

    インターネットのサーバー事業などを手掛けるビヨンド(大阪市)は2023年度の新卒採用で、希望者を対象にアバター(仮想世界での分身)を活用したオンライン面接を実施する。募集する職種はエンジニア。学生だけでなく面接官もアバターで参加する。性別や学歴などの個人情報を明らかにしないことで、学生の人間性を知ることを目的としているという。

    「バーチャル面接」のイメージ
    「バーチャル面接」のイメージ

    近年、表情や身振り手振りをカメラやセンサーで読み取って、仮想空間のキャラクターにリアルタイムで反映させる技術の開発が進んでいる。アバターの姿で動画を配信する「バーチャルYouTuber」や「Vtuber」がテレビタレント並の人気を博したり、男性が女の子のアバターを使う「バ美肉(バーチャル美少女受肉)おじさん」が流行語になったりと話題に事欠かない。

    アバターの外見は利用者の好きなようにカスタマイズできることが多い。同社は面接に利用するアバターの創意工夫を評価することで学生の個性と創造性を探れると「バーチャル面接」のメリットを挙げている。

    採用の担当者は「アバターも選考基準に含まれる。学生がどのような印象を与えようと考えて、どんなアバターを作って参加するのか本当に楽しみだ。ひとつの企画として楽しんでほしい」と期待感を示し、笑いの町・大阪に拠点を置くだけに「面白いネタは大事にしたい」と語った。

    個性重視の傾向は学生が開示する個人情報の範囲にも表れている。バーチャル面接を希望する学生がエントリー時に求められる個人情報は、メールアドレスとニックネームだけで、学歴、性別、年齢などは不要だ。

    エントリー後は、エントリーシートに記入した志望動機などでの選考を通過した学生がバーチャル面接に進む。同社が推奨するツールをインストールしてもらって実施するが、パソコン環境などの都合でツールが利用できない場合でも、仮面や被りもので顔を隠せば面接に参加できる。ボイスチェンジャーの利用も認められているので、声から性別を判断されることも防げるという。

    バーチャル面接を通過した学生は、同時並行で行われる通常選考の一次面接と二次面接をスキップして最終面接とSPI試験(適性検査)に進むことができる。最終面接は通常のオンライン会話で行われ、履歴書の提出も必要だという。

    同社の23年度の新卒採用人数は6、7人。このうち、バーチャル面接を経て内定をもらうのは1、2人だと採用担当者は予想しており、「1人でも多くの学生がバーチャル面接を通過して正社員になってくれればうれしい」とエールを送った。同社のバーチャル面接のエントリー受付は28日まで。


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