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アフガンで広がる貧困 臓器売買も横行 タリバン支配から半年

【シンガポール=森浩】アフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが首都カブールを制圧して、15日で半年となった。タリバンが政権を奪取して以降、国内経済は事実上破綻状態となり、貧困が急速に拡大している。農村部では困窮した住民による臓器の売買も横行。「人道的危機と経済的崩壊」が同時に押し寄せ、安定には程遠い状況が続いている。

アフガニスタンの首都カブールの検問所で、警戒に当たるタリバン戦闘員(ロイター=共同)
アフガニスタンの首都カブールの検問所で、警戒に当たるタリバン戦闘員(ロイター=共同)

2400万人に支援必要

「私はやりたくないが、臓器を売って生活をする人も多い」。西部バドギス州のハビビさん(45)は産経新聞通信員の取材に困窮を打ち明けた。

ハビビさんによると、腎臓1つの値段は約1300ドル(約15万円)程度。これまでも臓器売買はあったが、困窮が拡大して臓器を売ろうとする人が絶えず、〝価格〟は下落しているという。複数メディアは、住民が子供を人身売買業者らに売って生活費を得る様子も報じた。

タリバンの政権奪取後、国家予算の8割を占めた海外援助が停止されたことに加え、長年続く干魃(かんばつ)の影響で経済は非常に厳しい状況だ。国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は、今年は人口の約6割に当たる2400万人以上に人道支援が必要になるとの見通しを示した。昨年と比べて600万人増えるという。

東部ラグマン州のムルザさん(50)は「(タリバンが政権を握って以降)戦闘は確かに減ったが、貧困をどうすればいいのか」と語る。電気が使えるのは1日のうち3時間程度。警備員だったムルザさんも失業し、家財道具を売りながら糊口をしのいでいる。

女性への人権侵害続く

タリバンは昨年8月15日にカブールを制圧して政権を掌握した。9月には暫定政権を立ち上げ、支配体制を固めている。

ムルザさんが語るように国内の治安には改善がみられる。国連によると、昨年8月19日~12月31日の間に起きた銃撃戦など治安に関する事件は985件で、前年同期比で91%減少した。タリバンと政府軍の戦闘がなくなったことが影響しているとみられる。

一方、女性に対する人権侵害は依然として深刻だ。タリバンは女性の就学を制限し女性の映画出演を禁止。「男性の親族が同伴しない限り、女性は公共交通機関を利用してはならない」との命令も出している。

政権批判にも神経をとがらせ、ジャーナリストの拘束や暴行も相次ぐ。

これに対し、欧米各国を中心に国際社会は暫定政権への厳しい姿勢を貫く。アフガンの豊富な天然資源に着目する中国を含め、暫定政権を正式な政府として承認した国はない。

アフガンの政治評論家、サミム・カイバル氏は「凍結資産の解除や国際援助の再開はなかなか見込めず、国内の貧困は拡大していくだろう。国際社会は暫定政権を通さずに市民に支援が行きわたる方法も考えていくべきだ。そうしなければ市民の餓死が増えるだけだ」と話した。


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