「登録希望の介護士には、まず独自の適正検査と面談を行います。面談では介護士一人ひとりのキャリアや技術レベル、対応可能な事柄を詳細にヒアリング。その後、合格した介護士だけが登録できる制度になっています。介護スキルはもちろんですが、人柄も非常に重視しています。さらに、レポート機能によって、サービス終了後にお客様へリアルタイムにレポートを送付しています。そのレポートをお客様一人ひとりに対して専属担当者が随時チェックしています。こういった取り組みのおかげで、利用者さんから高い評価をいただいています」
同社が開発したシステムでは、介護士一人ひとりの職務経歴や介護技術・性格やコミュニケーション能力を定量化し管理することで、利用者に最適な介護士をマッチング。サービス品質を標準化している。その結果、ミスマッチが防ぐことができ、利用者は相性の良い介護士のケアを受けられる。さらに、通常の介護サービスでは難しい即日や翌日の利用も可能である。
「利用者さんからの依頼があると、すぐにオンラインで募集案件を発信します。稼働できる介護士は内容を見てエントリー。この間5分もかかりません。最短2時間で利用者さんのご自宅を訪問できるのです。システムを開発したおかげで、迅速にサービスを提供できるようになりました」
ちなみに社員の半数はエンジニアだ。現在、さらに開発を進めており、これからの介護業界の良質なビジネスモデル構築を目指している。
「急速な高齢化が進んでいる日本では、国の社会保障費が増大し、近い将来、制度自体が立ち行かなくなる恐れがあります。そうなると、介護を必要とする方は保険適用外サービスに頼らざるを得なくなります。そういった方のためにも、少しでも負担額を減らし、良いサービスを提供できるようにしたいと考えているところです」
イチロウでは、自社で開発したシステムの技術データをすべてオープンにしている。同業他社に広く利用してもらうためだ。少しでも介護業界を良くするためだと、水野さんは話す。
現在のサービスエリアは首都圏、中部圏に限られているが、今年中には関西圏へも進出予定。さらに全国展開も視野に入れている。
世界でも類を見ない高齢化社会の日本。現在、介護士の人材不足だけでなく、様々な問題を抱えている。同社のように介護のDX化を進めていくことが、解決への一歩になるに違いない。