人権侵害リスクに対応 国際経済連携推進センターが中小企業向け指針 中国の人権問題受け 

    企業の海外活動などに関する調査を行う一般財団法人の国際経済連携推進センター(東京都港区)は、ビジネスに伴う人権侵害リスクに対応するための中小企業向け指針をまとめた。取引先を含めた海外のサプライチェーン(供給網)上の強制労働や安全問題は、中国・新疆ウイグル自治区の人権問題などを受け重要度が増している。指針は、事例を交えながら、経営資源に制約がある中小企業でもすぐに取り組める具体策を提示している。

    中国・新疆ウイグル自治区アクス地区の繊維工場。米国は6月施行の法律で同自治区の全製品を輸入禁止対象にすることを決めており、日本企業も調達先の見直しを迫られている=2021年4月(AP)
    中国・新疆ウイグル自治区アクス地区の繊維工場。米国は6月施行の法律で同自治区の全製品を輸入禁止対象にすることを決めており、日本企業も調達先の見直しを迫られている=2021年4月(AP)

    指針の表題は「中小企業のための人権デュー・ディリジェンス・ガイドライン」。同センターのホームページから無料ダウンロードできる。日本貿易振興機構(ジェトロ)の国内窓口などでも3月末から無料配布する。

    指針は、対応の第一歩となる、人権方針策定の方法を文例も交えながら紹介。製造業、建設業、小売業のケースに分け、人権に関する企業としての注意義務を果たすための作業内容や手順、状況に応じた各種相談窓口を紹介している。

    経済産業省と外務省が昨年11月に公表した、日本企業の供給網における人権対策調査では、グローバル展開する大企業は人権への対応が進んでいた一方、国内事業が中心の中小企業は未対応が多く、「具体的な取り組み方法がわからない」といった声が目立った。

    同センターは、中央学院大の中川淳司教授(国際経済法)を座長とする研究会を昨年7月に立ち上げ、欧米諸国で先行する人権問題に関する法規制や企業対応も検証し、今回の指針をまとめた。

    無料ダウンロードのアドレスはhttps://www.cfiec.jp/jp/pdf/gsg/guideline-20220215.pdf

    (吉村英輝)


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