三菱ケミカルはサッカーJ1のガンバ大阪と連携し、廃棄後に堆肥となるドリンク用の紙コップを用いた循環型システムの実証実験を始める。大阪府が掲げる「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」などの、プラスチックの資源循環を推進する活動の一環だとしている。
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紙コップには、耐水性を上げるために内側をポリエチレンでラミネート加工しているものがある。このラミネート素材を、三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂「BioPBS(バイオPBS)」に置き換えることで、プラスチックごみの廃棄を減らし堆肥として再利用することが狙い。
実証実験はガンバ大阪がパナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)で実施する今年のホームゲームで行われ、合計約10万個のドリンク用紙コップ「Gスマイルカップ」が提供される予定だ。
捨てられた紙コップはスタジアムの食品残渣発酵分解装置に入れられ、食べ残しなどの生ごみなどと一緒に1次発酵が行われる。さらに堆肥場で2次、3次発酵をした後、農作物の栽培に利用できる堆肥に生まれ変わるという。
紙コップの内側を加工する素材を環境負荷が小さいものにする取り組みのため、プラスチックごみを大幅に削減できるとは限らない。三菱ケミカルの広報担当者は実証実験について「ポリエチレンを分解できず、焼却処分するしかなかった従来の紙コップを再利用する循環型システムに着目した」と説明している。