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職場接種前倒し拡大 一方で「意義薄れた」の声も

新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について、企業に職場接種の実施を前倒しする動きが広がっている。従業員や取引先などを感染から守るため、少しでもワクチン接種を早める狙いだ。一方で、実施をためらう企業も出てきている。自治体の接種態勢が整う中で必要性が薄れたことに加え、今のオミクロン株の流行には間に合わないことなどが背景にある。

「1、2回目の経験があったので今回は準備がスムーズにできた」。16日に職場接種を開始した証券大手、野村ホールディングス(HD)の担当者はそう語る。同社の職場接種はもともと21日に開始する予定だったが、一日でも早く業務継続と社員や顧客の安全確保を進めようと、前倒しを決めた。

4月中旬までに1日最大約400人、計約1万2千人に接種する計画で、支店の営業など顧客との接点が多い職場を優先させる。同社のように接種を前倒しする企業は相次いでおり、ソフトバンクグループや伊藤忠商事なども前倒しする方針だ。

ただ、3回目の職場接種が1、2回目と同じような水準に広がるかは不透明だ。1回目の接種実績をみると、昨年7月と9月に接種が集中し、8月は接種回数が大きく減少した。ワクチン供給の大半を7月に接種した企業の2回目用に振り向けたためだが、8月に実施予定だった多くの企業は計画変更を強いられ、政府への不満につながった。

この時の遅れは3回目接種の開始時期にも影響している。2回目の接種から最短でも6カ月は空ける必要があるためで、9月に接種を開始した企業の3回目は今年4月以降になる計算だ。オミクロン株の流行が下火になるとの予測もある中、ある中小企業からは「職場接種の意義は薄れている」との声も聞かれる。

東芝も「全社一律では実施しない方向」だという。同社もワクチン供給の遅れなどで1、2回目の接種完了が昨年10月となった。次の流行に備えるとしても、モデルナ製しか選べない職場接種よりも、ファイザー製も選択できる自治体での接種の方が従業員の希望に合致するとの判断もある。

厚生労働省の調査でも3回目接種の申請は2716会場で、1回目の4044会場を大きく下回る。これまで全体の約1割を担ってきた職場接種だが、政府が今後も協力を求めるなら、より参加しやすい枠組みの検討と、丁寧な情報発信が求められそうだ。

(蕎麦谷里志)


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