理系学生の4人に3人が大手企業を志望し、就職先として「安定性」を最も重視していることが16日、HR総研とTECH OFFERの共同アンケート調査で明らかになった。新型コロナウイルス禍の影響を色濃く反映。理系学生採用支援を行うテックオーシャン(東京都千代田区)は「社会の変動から、大手であることや『安定性』をより強く求めるようになっている」と推察している。
調査は昨年11月19日~12月3日に2023年に卒業予定の理系の学部生、大学院生を対象に実施され、564人が回答。それによると、希望する企業規模では、従業員1000人以上の大手企業に「絶対行きたい」と答えた学生は25.9%、「できれば行きたい」と回答したのは52.8%だった。「企業規模は問わない」としたのは14.9%、300~1000人規模の中堅企業を志望する学生は6.2%、300人未満の中小企業志望は1.1%にとどまった。
大手を志望する理由として、学生からは「ブランド名で親を安心させたい」「研究職を志望する上で、研究を行うなら大手がいいと考える」「大手の方が公開情報も多く、上場企業であれば法令遵守の姿勢も強いと思う」といった声が寄せられている。一方、「中堅企業に行きたい」と回答した学生は「安定しており、裁量権を持ちながら働きたい」「転勤が嫌だから」「これから成長する企業にこそ面白さを感じる」などの理由が挙がった。
就職先を決めるうえで重視したい点(複数回答)では、「安定性」が最も多く69.3%。次いで「福利厚生」「事業内容」(ともに61.0%)、「仕事内容(自分の専攻やスキルが活かせる)」(55.5%)が続いた。就活に不安を覚える学生は少なくなく、「とても不安である」 「やや不安である」との回答が合計で56.0%と過半数を占めた。
テックオーシャンの長井裕樹社長は「4分の3を超える学生が大手志向であることが浮かび上がってきた。一方で、この結果がすなわち『理系学生は保守的である』という結び付けにはならず、例年の傾向からすると就職活動で企業と出会う中でやりがいや会社の雰囲気を重視するように意識が変化していくことが予想されるので、この先、就活を進めていく中で、2023年卒の学生の気持ちにも変化がみられるのではないか」との見方を示している。