首相、緊急事態回避 政権なお正念場 蔓延措置延長

    岸田文雄首相は17日、新型コロナウイルス対応の蔓延(まんえん)防止等重点措置について大阪府などの期限を延長する方針を明らかにした一方、緊急事態宣言の発令は見送った。ワクチンの3回目接種の遅れなどで後手批判が強まる中、宣言を発令すれば政権に打撃を与える恐れもあった。第6波のピークは越えたが、重症者の増加や医療逼迫(ひっぱく)の可能性もあり、政権の正念場は続いている。

    新型コロナウイルス対応を巡り、記者会見する岸田首相=17日夜、首相官邸
    新型コロナウイルス対応を巡り、記者会見する岸田首相=17日夜、首相官邸

    大阪府の吉村洋文知事「信用していいんですか」

    山際大志郎経済再生担当相「全面的にサポートする。一緒にやろう」

    14日、山際氏は宣言発令の要請を検討していた吉村氏と電話で数度にわたって協議し、病床確保などで国が全面支援する考えを伝えた。

    政府は当初、大阪は宣言発令を要請しないとみていた。だが、重症病床使用率などが上昇し、要請を検討しているとの情報が伝わったため、山際氏が説得に乗り出した。岸田政権は菅義偉前政権と比べ、吉村氏が副代表を務める日本維新の会との関係が良好というわけではなかったが、両者で医療逼迫回避に取り組むことで一致した。

    緊急事態宣言は経済社会活動に影響を与え、国民の反発も根強い。首相は昨年10月の就任以降、「最悪の事態を想定する」として、医療提供体制の強化や経口薬の確保などを進めてきた。オミクロン株の感染力が想定を上回ったとはいえ、宣言発令に追い込まれれば政権のコロナ対策に疑問符が付きかねない。

    「宣言を出すことになれば勝ち筋はない」。政府関係者はこう語っていた。感染の波が来るごとに宣言を繰り返し、支持率が下落した菅政権の前例もあった。

    今回、沖縄など5県の重点措置は期限の20日で解除できる見通しが立った。政府の対策に一定の効果が見え始めているが、首相は周囲に「感染者は減り始めたが、重症者の増加は遅れてくる」と語り、気を引き締める。首相は昨年11月に水際強化措置に踏み切るなど〝先手〟で対応してきたものの、ワクチンの3回目接種の遅れなどに批判も噴出した。周辺は「先手の対応で蓄積した貯金を吐き出している状況だ」と漏らす。

    首相が今回、水際対策の緩和に踏み切ったのは、コロナと共存する「ウィズコロナ」に向けた政策の一環だ。今後はいかにウィズコロナへの出口戦略を描くかが課題になる。

    (千田恒弥、田村龍彦)


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