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「巨大企業も安泰ではない」ダメになりつつあったマイクロソフトが劇的に復活できたワケ

PRESIDENT Online

繁栄を続ける企業は何が違うのか。コンサルタントの木村尚敬さんは「リーダーの意思決定が早いほど、事業は大きく繁栄する。例えば、マイクロソフトは祖業のソフトウェア販売に見切りをつけることで劇的な復活を遂げた」という--。※本稿は、冨山和彦、木村尚敬『シン・君主論 202X年、リーダーのための教科書』(日経BP)の一部を再編集したものです。

2019年7月18日、マイクロソフトのロゴ(東京都) 写真=時事通信フォト
2019年7月18日、マイクロソフトのロゴ(東京都) 写真=時事通信フォト

どうやって問題を早期発見するか

この場合ローマ人はすべての賢明な支配者のなすべき事柄を行った。彼らは現在の紛争のみならず将来のそれをも全力を尽くして回避したのである。それというのも早くからそれらを予見するならば、容易に対策を施すことができるが、あまりに目前に迫ってから予知したのでは病気は回復不能なものとなり、薬剤は時を逸してしまうことになるからである。医者が結核患者に関して言うように、病の初期にそれを治すのは容易であるがそれを見つけ出すのは難しく、他方それを初期のうちに発見せず処方を怠る場合、時の経過とともに発見は容易となるが治療は難しくなる。--『君主論』第3章より

イタリア半島の小さな都市国家から始まった古代ローマは、次々と領土を拡大し、やがて地中海世界の全域を支配する大帝国を築いた。

これだけの繁栄を築けたのは、ローマ人が獲得した領土に植民を送ったからである。新たな支配者は自分に忠実な人々を植民として派遣し、その地域に残っている強大な勢力を弱体化させ、自身の支配体制を完全なものにした。

もしこれらの方策を実行しなければ、いつかまた地元勢力が力をつけて反旗を翻したり、国内の混乱に乗じて外国勢力を引き入れたりするかもしれない。

将来の紛争を予見し、早い段階で対策を施すことでそれを回避する。これがマキャベリの言う「すべての賢明な支配者のなすべき事柄」である。

どんな病も、早期に発見して治療を施せば、回復の可能性も高まる。いよいよ末期という段階になって薬を与えても、時すでに遅しである。

だが問題は、病の初期にそれを見つけるのは難しいことだ。国の統治も同様で、将来の災いをはるか以前から知ることができれば、ただちに対処して未然に防ぐことができるが、それは決して容易でない。

だからこそ君主は、先を見通す目と早期に方策を施す実行力が必要なのである。

撤退するとしても早めがいい

企業経営においても、リーダーが将来の災いをいかに早いタイミングで見通せるかが重要となる。

事業の競争力が回復不能なレベルまで悪化した段階なら、撤退するしかないことは誰にでもわかる。ただそうなると、かなり大きな痛手を負っている状態なので、仮に大手術をするにしてもそれなりの負荷とコストがかかるし、回復をするにしても時間や費用などの面から多大なリカバリーコストがかかってしまう。

そのため、リーダーが問われているのは、3年前にこうなることを予見し、その時点で撤退を決断できるかだ。

先を読むには、事業の経済合理性を突き詰める力が必要となる。

事業について何らかの兆しが表れ始めた初期段階では、将来についてさまざまな可能性が考えられる。

例えば、ある海外拠点の市場が飽和しつつあったとき、このまま成長が頭打ちになる可能性が高い一方で、極端なことをいえば、競合企業が何がしかの不祥事を起こして戦力が弱体化する、自社製品が大ヒットするなど、いきなり二桁成長に転じる可能性だってゼロではない。未来のことは誰にもわからないので、どんなシナリオも起こり得るのだが、それを言っていたら先を読んで行動することはできない。


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