岸田文雄首相は17日夜、緊迫するウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン大統領と電話で会談した。首相はプーチン氏に対し「力による現状変更ではなく、外交交渉により関係国が受け入れられる解決方法を追求すべきだ」と伝えた。両首脳は対話を継続する方針で一致した。
:quality(50)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/5BVXKGRTRFNR5IGJQJFF3I2V3U.jpg)
首相は電話会談で「ウクライナ情勢について重大な懸念を持って注視している」と伝達。プーチン氏はロシア側の立場を説明し、首相は外交努力による問題解決の必要性を重ねて強調した。両首脳は北方領土問題を含む日露関係についても協議を続けることで一致した。
首相は会談後、記者団に「引き続き緊張緩和に向けた粘り強い外交努力を続けていきたい」と述べ、先進7カ国(G7)をはじめとする国際社会と連携していく考えを示した。ロシアがウクライナに侵攻した場合の制裁措置を問われたが、明言は避けた。日露関係について「さまざまな分野で関係を進展させていくことが重要だということで一致した」と明かした。
首相周辺によると、首相は「ウクライナとロシアの双方の話を聞かなければ意味がない」として、外務省にプーチン氏との電話会談を設定するよう強く指示していた。首相は15日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、ウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持すると表明している。
首相は会談に先立つ17日の記者会見でも「力による現状変更を認めると、欧州のみならずアジアや国際社会全体に誤ったメッセージを発することになってしまう」と述べた。ロシアによるウクライナ侵攻が、中国の脅威にさらされる台湾や、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺を含む日本の安全保障にも影響しかねないとの危機感を示したものだ。